相模原市中学校給食あり方検討委員会が6月から始まりました。私たちの会のメンバーも公募委員として参加させていただいています。
6月21日に開催された第1回の委員会は、各委員の自己紹介から始まり、デリバリー給食の試食、事務局(市)による資料の説明と質疑、全員喫食の給食と食育についての委員個人の意見の発言が行われました。
第一回の委員会には報道も入っており、新聞やテレビのニュースでも取り上げられました。
会議録はこちら↓
第1回では、「全員喫食の必要性」などが主なテーマとなっていたと感じました。
11月の中間答申で方式を定め、先に給食調理場建設に向けて動き出すことで、より早く「全員喫食」が始められるとのことでした。その最短が2026年度。それよりも早く始められる手段がないのか、疑問の残る委員会でした。
8月8日に開かれた第二回の検討委員会では、第一回で出された意見をもとに事務局が定めた方向性の確認を全体で行いました。
示された方向性はこちら↓
▶全員喫食を可能な限り早期に実現し、持続可能な運営
▶安全安心で温かい給食を提供
▶学校給食を活用した食育の充実
これに関しては、意見や質問はなく承認されました。
しかし、後になって「早期」の言葉の解釈に私たちと相模原市の理解に違いがあることがわかりました。
私たちが考える「早期」とは、「それぞれの学校がより早く全員喫食を開始すること」をイメージしていたのですが、相模原市は「すべての学校で全員喫食の給食の共用が完了すること」を言っていたのです。私たちとしては、自校方式や親子方式で実施可能な学校はどんどん工事を始めてできるところから実施していけばいい、と思っていたのですが、相模原市はどうやら「市内一斉開始」を目指しているようにも感じられました。
そのため、自校方式や親子方式の実施可能性を十分に検討することなく、外部の調査で「不可能」と判断し、ほとんどの学校で「センター方式」を採用すると決めることを急いでいるようにも感じました。
本当にそれでいいのでしょうか?
こちらは、上記の方向性に含まれる5つのワード【全員喫食】【早期実現】【持続可能】【適温提供】【食育】について、それぞれの実施方式を評価した総括表です。
全員喫食では親子と自校に【×】がついていますが、それは困難な学校があるためであると思います。しかし、実施可能な学校もあります。十分な検討が済んだとは思えない段階(委員会内で検討不十分であることを指摘しました)で困難な学校があるというだけで【×】となることには違和感を覚えます。
早期実現も、「早期」がどの程度の期間のことを指すのかが不明なのでいまいちわかりにくいのですが、愛川町や大阪市など、親子方式で早期実現した自治体もあることから親子方式に【×】が付くのは理解し難いです。また、小学校の給食室の老朽化問題(今のやり方だと解決には30年かかることも第二回の委員会で明らかになりました)もありますので、そこを親子方式の親校とすることを検討に入れると、小学校給食室の問題の早期解決にもつながるとも考えられます。
持続可能はセンターのみが生徒数の増減に対応できるとして【○】。今後、子どもが減少すると試算されている中、1万食規模のセンターを2カ所作ろうとしていますけど、本当に無駄にならないのでしょうか?本当に「持続可能」とするのであれば、学校給食以外の使い方(地域の方の利用や、夏休み中の学童の給食提供等)も含めた施設にしてこそだと思いますが、そこまでの話は現時点では出ていません。
そしてよく見ると生徒数の前に「児童」の記載。子どもが減ったら小学校の給食室をなくして順次、小学校もセンター方式にしようとしているのではないかという心配を以前から持っていましたが、やはり想定されているんだな、と感じてしまいます。
というかそもそも、給食の方向性で「持続可能」ってどういうことなのでしょう。
適温提供に関しては異論はありませんが、より近くで調理されたものの方が適温で提供できるということは簡単に想像できると思います。センター方式で実施される場合は保温力の優れた食缶を使うとは思いますが、それでもやはりセンターから近い学校と遠い学校では温度に差が出るのではないかと思います。
食育に関しても、どの方式でも可能ではあります。しかしこれもやはり、調理場や栄養士さん、調理員さんがより近くにあった方がより深い学びにつながるのではないかと思います。相模原市内の小学校にはセンター方式の学校も数校ありますが、その学校にお子さんが通われている保護者さんの話によると、自校方式ほどの食育が行われているとは思えないので、センターは【○】ではなく【△】ではないか、との思いを聞かせていただきました。
委員会で「適温提供と食育には自校方式に【◎】の評価ができないか」と発言してみましたが、鼻で笑われて流された印象です。
食育に関して、委員会ではこのような資料が配られました↓
年齢により目指す資質と能力が違うため、「中学校給食ではどの方式でも食育の実施が可能」と相模原市は結論づけています。
そこで、食に関する指導の手引きを確認してみました。
すると、相模原市がまとめた資料にはない文言がそこには記されていましたので、それを赤枠で囲みました。
市が作成した資料に載っている4点はセンターでも自校・親子でもそれほど違いがないでしょう。というか、委員会内でも指摘がありましたが、これらは「家庭科」に近い内容ではないかと思います。では、載せていない4点はどうか。これこそ、栄養教諭や栄養士さんが近くにいてこそ学べる内容だと思うのです。 全員喫食の給食だからこそできることであり、指導してくださる先生あってのことです。市はなぜこれらの情報を委員に知らせなかったのでしょうか。
センター方式を主軸にすることには私たちも異論はありません。そうするしかないだろうと思います。しかし、全校全員喫食の給食の早期実現を重視するあまり、教育の一環である給食の「食育」の部分や「自校方式のよさ」を簡単に諦めすぎているのではないかと、ここまでの委員会に参加して感じているところです。「子どもにふさわしい給食」を実施するための検討が庁舎内で十分にされたとは思えませんし、「あり方検討委員会」でも検討ができているとは思えません。
また、センター方式に決まったとしても、2カ所ではなく、もう少し小規模なセンターを数カ所増やせないかとも感じています。それにはいくつかの理由がありますが、それはまた別の記事にしようと思います。
第二回の会議録はまだ公表されていませんが、公表されましたら、ぜひ皆さんも読んでみてください。第一回の内容についても、感想等をお聞かせください。また、ご意見を市に届けてください。
次回の検討委員会は10月初旬に予定されています。それまでに、私たちもたくさんの方の意見や思いを聞き、学び、伝えられるようにしたいです。
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