前回のブログでご報告した、相模原市学校給食あり方検討委員会では、中学校給食の全員喫食に向けた方向性等を話し合っています。
第二回の検討委員会で、「主軸となる方式」が「センター方式」とまとめられたのですが、委員である私たちはいまいちピンと来ていません。前回も書きましたが、「センター方式」が主軸であることには異論はないのですが、その規模について、ちょっと懸念があり、大きく頷けないでいるのです。
相模原市から出された案では、全ての生徒に給食を提供するためには最低でも2箇所の給食センターが必要とされています。理由は、「調理後2時間以内喫食のルールを守るため」。つまり、1箇所では時間内に全ての学校に給食を届けることができないため、ということ。
いやいやいやいやいや…
2箇所じゃ少なくないですか?
というのが、私たちの考えです。
市が作成した資料では、このような区分けをしています。
北側と南側にそれぞれ1箇所ずつ給食センターを建設する案です。用地取得はこれからのため、建設地も未定です。
市から渡された資料には、令和21年(2039年)までの生徒数の分布予測の資料もありましたので、その地図に上記の赤線を引いてみました。(赤丸の上溝中と相模台中は自校方式の給食室建設が可能とされている学校)
北側はすべての学校で生徒数が減ると予測されていますが、南側は増えると予測されている地域が数カ所あります。うーん、生徒数が減る場所に大規模な給食センター…ってどうなんでしょう?第2回で承認された中学校給食の方向性には「持続可能な運営」とあります↓
生徒数が減っていった後、給食センターはどうなるのでしょうか?8000食作れる設備で例えば5000食だけを作り続けるのでしょうか?それが相模原市の考える「持続可能な運営」なのでしょうか?
以前、私たちは、「作り手」と「食べ手」の距離についてのブログを書きました。
「作り手と食べ手の距離はなるべく近い方がいい」という考えを私たちは持っています。加えて、「調理場はなるべく小さい方がいい」という考えも持っています。なぜなら、私たちが求めているのは「学校給食」だから。学校給食である以上、なるべく多くの生徒に安全・安心な給食を毎日提供する必要があります。そして、充実した食育の教材でなければなりません。そのためには、大規模な調理場よりも、なるべく小さな調理場である必要があると思うのです。私たちが考える「大規模センターに対する不安」を挙げてみます。
①残食が増えるのでは?
2016年と少し古いデータで申し訳ないのですが、こちらは相模原市の小中学校の給食の残食率の表です。
小学校の自校方式の学校の残食率は5.1%、それが給食センターの小学校では平均12.7%になっています。中学校に至っては、22.5%にも!相模原市だけではありません。他市でも、自校方式とセンター方式では、残食率に違いが出ていることが多いのです。なぜこのような差が出るのか市に聞いてみても「わからない」と言われてしまいます。
ちなみに、親子方式を採用した愛川町は4.8%と低い残食率となっています。
②配達遅延は起きないの?
温かい給食は調理後2時間以内に食べなければならないというルールがあります。加えて、学校にも時間割がありますので、悪天候や事故渋滞などによる配達遅延は避けなければなりません。そう思うと、単純に給食センターは小分けにしておいた方がそのようなトラブルは起こりにくいのではないでしょうか。
③トラブルがあった場合の影響は?
あってはならないことですが、絶対にないとは言い切れないのが、調理中のトラブルや、異物混入。調理器具の一部が欠けていることがわかり給食停止などの事例もあります。8000人の給食を調理し、各学校に配送後に調理器具を洗浄していたときにネジが外れていることに気付き提供を中止しなければならない、などの事例もあります。調理場の規模が小さければその影響範囲は少なくなります。提供停止の連絡が間に合わず子どもたちが既に食べてしまっていることもあります。
大規模な影響の例として、横浜市では7万人の児童の主食が提供できなかった事例があります。
給食がセーフティネットとなっている家庭もあります。だから、何らかのトラブルにより給食が中止・停止になったとしてもその影響を受ける範囲は最小限にとどめられるようにしてもらいたいです。
④アレルギー対応は?
以前、相模原市のアレルギー対応についてのブログを書きました。
複数の学校の給食を作るセンターでは、決められた食材の除去にしか対応できません。小さな調理場で、食数が少なければ少ないほど、アレルギー対策は柔軟に対応できるのではないでしょうか。除去対応外の食材にアレルギーがある生徒は給食を利用できない日が増えてしまう可能性があります。
しかし、アレルギー対応専用の調理ルート(食材の納入時点から分けることが可能)を作ることができるのも、センターの良さではあります。
⑤食育は行き届く?
前回のブログに書いた通り、相模原市は「センター方式でも食育はできる」と言っていますが、実際にセンター方式の小学校の保護者さんの中には、自校方式ほどの食育ができているようには感じていない方もいます。栄養士さんに伺ったところ、センター担当よりも学校に配置されている栄養士さんの方が、先生方とコミュニケーションが取りやすい分、各教科や学校行事等とも連携した食育の授業ができるともおっしゃっていました。大規模センターになった場合、どの程度の栄養士さんが市内に配置されるのかはわからないので「大規模センターでは食育は難しい」とハナから否定することもできませんが、どの生徒にも十分な食育を行き渡らせるためにはどのような規模の調理場が望ましいのかを考えてほしいです。
⑥加工品が増えるのでは?
第2回の検討委員会後、学校給食課長に「センターだと加工品が増えるのでは?」と伺ったところ、「そこは相模原はすごいんです!センターでも加工品を使っていないんです」とお答えをいただきました。しかし、今、相模原にある給食センターよりも、食数が増えますし、中学生用ということで一食当たりの量も増えます。「センターでも加工品を使わない」という態勢をずっと続けてもらえるといいのですが…。
繰り返しますが、私たちは主軸をセンター方式にすることには異論は持っていません。敷地や道路の状況から、自校方式や親子方式がごく限られた学校でしかできないということはわかっています。
4〜5校に一つの給食センター。自校や親子で実施可能な学校があれば、3校分の調理で済むセンターもあるでしょう。区域内の小学校の給食室の建て替えの時には一時的にセンター給食になるかと思いますが、その時にも柔軟に対応できるのではないでしょうか。
※あくまでも、こんな風に分けることも検討してもいいのでは?と思っているだけです。現実的かどうかはまた別の話であることをご理解ください。
と、素人考えではありますが、私たちはこのように考えています。この考えを委員会でも伝えていきますが、皆さんにもぜひ考えていただけたらと思い、ブログにまとめました。皆さんは、大規模なセンター方式をどう思いますか?
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