議廻奇譚① 五十嵐千代議員(その2)

市議会議員の議会での給食に関する発言・質問をウォッチする「議廻奇譚」。五十嵐千代議員の回、その②です。

その①はこちら↓

2019年 6月定例会議 06月27日 一般質問 

この時は市長は本村市長に変わっていますが、教育長は前教育長です。

 ※文章は会議録の文章を元に簡潔に書き直しています。(例:考えております→考えている)


 五十嵐議員 
『市長はさきの代表質問(6月5日、大沢議員の質問への答弁)で、「魅力ある学校給食は生徒にとりましても相模原で育ったことへの楽しい思い出の一つとなり、それが郷土愛の醸成につながるものと考えている」と答えているが、利用率約40%、半数以上が利用していない選択制デリバリー方式による現在の相模原市の中学校給食は、この役割を十分に果たしていると考えているか。

市長 
「はやぶさ給食などのイベント給食や全校生徒で中学校給食を味わうデリバリー給食の日など、さまざまな取り組みを通じて、食育の推進や郷土愛の醸成などの役割を果たしてきたものと認識している。」 


五十嵐議員 
『市長は選挙時の公約として、「デリバリー給食は見直し、小学校、中学校間で行う本来の親子方式を検討する。中学校にも温かい給食を提供していく」と掲げているが、この考えは今でも変わりはないか。』 

市長 
「子供たちに喜んで食べてもらえる給食を提供することが大切であると考えている。本市にふさわしい給食を提供するための手法について、生徒や保護者などの御意見を広く伺いながら、早急に検討していきたいと考えている。」 


五十嵐議員 『本市は平成28年2月改訂の中学校完全給食実施方針を踏まえ、将来的には全員喫食による完全給食の実施を目指すとしているが、「将来的に」とは具体的にいつごろをめどとしているのか。』

教育長
「給食の質や食育の充実を図ることを基本にしながら、児童生徒の将来人口の動向を初め、学校規模適正化への取り組み、小学校給食施設の老朽化への対応等、長期的な視点を持って、本市にふさわしい提供体制について検討組織を設置し、進めていく必要があるものと認識している。こうしたことから、実施時期についても、提供体制を検討していく中で見極めてまいりたいと考えている。」 


五十嵐議員
『検討組織は全員喫食の完全給食を目指して検討する組織ということか。』

教育長
「全員喫食の完全給食提供方式を目指す上で、まず、現在のデリバリー方式の評価をしっかりしたい。そして、センター方式、自校方式、親子方式について検討していく、こうした検討内容になると考えている。」(この後、キャリア教育、ICT機器、トイレ整備などの例を挙げて、給食以外にもお金が必要という趣旨の答弁)


 五十嵐議員
『話を聞いていると、いろんなことでお金がかかるので、優先順位がどうなんだろうと聞いていて不安になるような御答弁でもあった。 まず、最初は庁内の組織でということだが、庁内の組織で検討するのは何なのか、それはどのくらいの期間でやる予定か。』

教育環境部長
「それぞれの方式について、情報収集、どういう課題があるのか、それを本市に当てはめて実現方法を考えたときに、どれくらい経費がかかるのか、どういう準備をしていかなきゃいけないのか、そういったことも情報収集をする必要がある。 速やかに取り組んでいく必要があると捉えているので、今年度(2019年度)はその準備をし、来年度(2020年度)、学識等も入ったような検討組織を立ち上げることに向けて準備をしていきたい。」


五十嵐議員
『来年度中にはさまざまな方式による試算などが出てくると思っていいのか。』

教育環境部長
「来年度、具体的にいつ何が出せるかということについては、そこまでのスケジュールは持っていないが、速やかに検討を進めていくことが必要であると考えているので、できるだけ早く方向性が出せるように検討を行っていく。」


五十嵐議員 

『今、小学校の給食もウェット式からドライ式への切りかえも進んでいない状況で、中学校で全員喫食の完全給食も、将来的にはと言いながら、なかなか具体的な目標を持って進めることができないという状況にある。この状況を子供たちがつぶさに知ったらどう感じるのだろうかということも考えていただきたい。 一方で、財政的に厳しいと言いながら、明らかに市の財政状況でやり切れない数の大規模な事業の検討はこれまで目標を持って進められてきた。持続可能なまちづくりをするというのであれば、その持続可能性を担っていくのは目の前の子供たち。しっかりと子供たちにとって最善の環境をつくっていくことが変化の激しい今の時代には一番確実な未来への投資でもあるのではないか。 

ここで改めて市長に伺う。市長はどんな気持ちで「中学校にも温かい給食を提供します」というように公約に掲げられたのか、市長の気持ちをお聞かせ願いたい。』

教育局長 

「デリバリー給食は一定の評価をいただいているところだが、よりよい給食、食育の充実といったものを目指してやっていこうということは市長の思いも教育委員会としても同じ思い。先ほど教育環境部長が答弁したとおり、さまざまな方式を検討した中で、本市にふさわしい、財政面もそうですし、本市に置かれた学校の状況、給食室の状況、そうしたものを踏まえて、本市にふさわしい給食のあり方というものを検討していきたい。」


五十嵐議員

『市長の気持ちは市長じゃないとお答えできないと思うが、気持ちをお聞かせ願えないでしょうか。』

 本村賢太郎市長

「ただいま教育委員会でお答えした内容と同じ気持ちであります。」


 五十嵐議員

『私は市長があれを公約に掲げられたということは、御自身も子育てしていらっしゃいますし、いろんな思いがあって掲げられているというように感じていました。 何が一番大事にされなきゃいけないのかということをしっかりと見ていただきたいと思いますし、もちろん、相模原市の中学校給食の状況、そしてデリバリーから変えた市の状況などもしっかりと見ていただいて、市長が公約に掲げられたことについて、どうやって実現していけるのか、教育委員会とともに検討していただきたいと思います。 』


この一般質問は、ぜひ録画を見ていただきたいのです。

この年の6月議会は、本村市長が市長に就任して最初の議会で、多くの議員から市長の公約の確認などの質問がされていました。

五十嵐議員は公約を掲げた市長の「気持ち」を確認する質問をしました。どれほどの想いがあって「中学校給食の見直し」を公約に掲げたのか、私たちも選挙前に本村氏に確認したく面談の申し出をしていましたが、お忙しいようでその申し出は受け入れていただけなかったこともあり、それに対する回答は非常に興味がありました。 しかし、回答したのは教育委員会。 そこで諦めずに再度市長へ問いかける五十嵐議員。 ぜひ、この部分だけでいいので動画をご覧ください。

「え?」と聞き返したくなる、質問と噛み合わない答弁がいくつかあるのですが(半数以下しか食べていないけど、はやぶさ給食などをやってるから食育や郷土愛の醸成ができている、という答弁など)、全体としては、『中学校給食はできるだけ早く改善が必要で、2019年度に検討を始めて2020年度に方向性を固めていくつもりはあるが、はっきりした時期は決められない』という、何とも曖昧なもの。しかし、その1で取り上げた2018年と違い、デリバリー給食の改善を前提としたものではなく、給食の方式を検討するつもりであることがわかります。

さて、五十嵐議員の回、次回も続きます。今回の答弁から1年数か月後、市長や教育委員会からどのような答弁を引き出したのか…その3をご覧ください。

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