議廻奇譚① 五十嵐千代議員(その3)

市議会議員の市議会での給食(主に中学校給食)に関する質問や発言をまとめたシリーズ【議廻奇譚】。
五十嵐議員の回、その3です。

その1、その2はこちら 


写真 五十嵐議員Twitterより 

※文章の一部は会議録の文章を元に簡潔に書き直しています。(例:考えております→考えている)


 2020年 9月定例会議 ‪代表質問

五十嵐議員 

『コロナの影響により市立小中学校の休校の間、大きな課題となったのが小中学生への食の提供だった。児童生徒にとっての「学習の一環」、また「子供の健やかな成長と命を守る」上で、学校給食の果たす役割と意義は大きなものがある。改めて、学校給食に対する市長の率直な認識を伺うとともに、マニフェストに掲げた中学校給食の実現について、市長の思いを伺う。』 

市長 

「学校給食は、児童生徒の心身の健全な発達や食に関する正しい理解を深める上で重要であるものと認識している。中学校給食については、温かい給食を提供したいという思いに変わりはないが、一方で、本市の厳しい財政状況などを踏まえて検討する必要があると考えている。


五十嵐議員 

『中学校給食の在り方についての検討状況を伺う。』

教育長 

「2019年度、本市における学校給食の今後の在り方を検討することを目的とした庁内検討組織を設置し、他市の取組事例の視察調査など、情報収集を行った。将来的な全員喫食による中学校給食の実現に向け、本市にふさわしい学校給食の在り方について、財政状況を踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えている。 」


五十嵐議員

『他市の中学校給食の取組事例の視察などの成果を伺う。』

教育局長

「デリバリー方式により実施している鎌倉市と、給食センター方式により実施している川崎市への視察を行った。施設運営や運営に係る民間活力を活用したPFI方式による事業手法や調理上の工夫、アレルギー対応の実施方法などについて情報を収集することができたので、本市の学校給食の在り方を検討する上で活用していきたいと考えている。」 


五十嵐議員

『検討作業の進捗に対する答弁は、ここ数年、ほとんど変わりがない。「相模原市にふさわしい学校給食」とは何か。実現すべきは、「育ち盛りの子供たちにとってふさわしい学校給食」ではないか。検討作業が進まないのは、あるべき姿に向かって何をすべきかという視点に立たずに、本市の財政状況に縛られた発想しか出てきていないからではないか。課題に真剣に向き合っているのか。」


教育局長

「本市にふさわしい給食の提供方式を今後検討してまいりたいと考えている。」


 五十嵐議員

『将来的には実現を目指すというのは、本村市長になる前から変わらない答弁。市長が変わったのに、答弁は同じ事の繰り返し。将来的にという曖昧な言葉ではなく、明確な目標設定をしていただきたいと思うが、見解を伺う。』

教育局長

「新たな提供体制の実現時期については、検討の中で見極めていくべきものと考えている。」


五十嵐議員

『小学校と同じような温かい中学校給食を実現するための様々な手法をシミュレーションして試算するとともに、幅広く柔軟な発想で財政負担を軽減しながら、実現できる道を検討する体制をつくるべきと考えるが、見解を伺う。』

教育局長
「2020年度については、庁内検討組織において情報収集や課題の整理に取り組み、2021年度には、市民や有識者等による検討組織を設置して、本市にふさわしい給食の提供方式を検討していきたいと考えている。検討に当たっては、地域特性に応じた方策や既存施設の活用、民間活力の導入など、様々な視点から検討していきたいと考えている。」 


五十嵐議員

『国の第4次食育推進基本計画に対するパブリックコメントには144人から意見が寄せられており、そのうち、中学校にも小学校と同じ温かい給食を望む趣旨の意見が約160件と、保護者の切なる願いがうかがわれる。保護者と子供たちの意見を聞き、対話していく必要があると考えるが、見解を伺う。』

教育局長

「これまでも保護者や子供たちの意見を伺いながら、デリバリー給食の改善を行ってきた。今後の学校給食の在り方の検討に当たっても、保護者や児童生徒をはじめ、広く市民の皆様の御意見を伺っていきたいと考えている。」


五十嵐議員

『視察については、方式を見るだけではなくて、子供たちにどのようないい効果があるか、デリバリーの場合と温かい給食の場合で、給食の時間の子供たちの様子がどう違うか、そういったところもしっかりと見ていただきたいと思うがいかがか、見解を求める。』

教育局長

「今回は施設面を中心に視察をしたが、子供たちの給食に向かい合う姿も見ていくことは大変重要だと思う。今後とも、他市の取組事例、情報収集に努めてまいるので、そうした視点でも取り組んでいきたいと考えている。」 


五十嵐議員

目標を持たずに真摯な検討が進むとは思えない。方式ごとの試算、今後の学校給食の在り方に関する保護者や子供たちへの意見聴取は、いつ頃行うつもりなのか伺う。』

教育局長

「2021年度から学識経験者や保護者などに参加いただきながら、今後の学校給食の在り方について、検討組織を立ち上げて検討していきたいと考えている。そうした中で、適時適切なときに、調査を行いながら、検討に生かしていきたいと思っている。」


 五十嵐議員

『学校給食に関しては、市長が変わったことで、多くの保護者が期待しているが、実際は、将来的にという曖昧な言葉が繰り返されるのみで、目標を持った真摯で具体的な検討が、なかなか進んでいない状況。』

市長

「令和元年東日本台風による被害への対応や、昨年度末から流行が始まった新型コロナウイルス感染症といった、これまで経験したことのない事態への対応が続いていることもあり、私が思い描いている施策の全てについて、必ずしも思いどおりに実施できなかった点もある。」



3回に分けて3年間にわたる五十嵐議員と市のやりとりをとりあげてみました。

さて、市の答弁を振り返ると…

  • 2018年…デリバリー給食の改善、喫食率の向上を目指す
  • 2019年…全員喫食の給食の実現に向けて早急に取り組みたい
  • 2020年…財政状況が厳しい 

このような流れであることがわかります。

最新の答弁では、「とにかく財政状況が厳しい」と訴えていると感じます。

でも、それと「公約に対する市長の思い」は別ではないかと思います。実際、シビックプライド条例や、SDGsに関しては、熱心に取り組んでいる姿が見られます。(給食とは事業規模が違いすぎますが、財政状況が厳しいのであれば、シビックプライド条例は後回しでよかったのではないかと思います) 

そしてこの回の注目答弁

『本市にふさわしい給食とは何か?』

の質問に 

「本市にふさわしい給食の提供方式を今後検討してまいりたい」

「本市にふさわしい給食の提供方式を検討していきたい」

と答える教育局長。申し訳ありませんが、全く意味がわかりません。どなたか、解説していただけませんか?

五十嵐議員は
『実現すべきは、「育ち盛りの子供たちにとってふさわしい学校給食」ではないか。』
と発言されています。

子どもたちにとってふさわしい学校給食が、市の財政状況によって振り回されていいものではないはずです。

コロナをきっかけに、給食を無償化にした自治体もあります。

町田市はコロナをきっかけに、全員喫食の中学校給食の実施へ舵を切り、センター方式の実現へ向けて具体的な議論を始めました。その舵を切ったのは、市長のひと声です。

五十嵐議員は市長の思いを繰り返し確認していますが、残念ながら、市長の中学校給食に対する思いは未だによくわかりません。 

【議廻奇譚】五十嵐議員の回は今回で終わりにしますが、質問と答弁の内容はまた取り上げて行きます。

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