議廻奇譚4人目は臼井貴彦議員です。
選挙公報には「子どもを育んでいく地域づくり!!」とありますので、子育てに関することに興味をお持ちであるように思われます。
どちらかと言うと、学校教育と言うよりも、幼児教育と子どもと地域との繋がりを重視しているのでしょうか。
そんな臼井議員の議会での給食に関する発言は2回。
会議録を見てみましょう。
2016年 3月10日 文教委員会
(前情報として、臼井議員の質問の前に江成元議員の質問と答弁から)
江成委員
『教育費の歳出が合計4億2,013万円の減額補正となっており、不用額が相当額出ている。これは例年のことではあるが、この内容と当初予算における見込みとの関係でどのように考えているのか伺う。 』
教育総務室長
「今回の教育費全体での約4億2,000万円の減額補正についてだが、まず、中学校給食の喫食率低下に伴う減額がある。」
臼井委員
『先ほど中学校完全給食推進事業で喫食率の低下により大幅な見込み違いがあったという話があったが、大体、どのくらいを見越していて、どのくらいの見込み違いがあったのか。』
学校保健課長
「当初、60%を見込んでいた。本年(2016年)1月現在、市内全域で見ると44.3%ということで、喫食率が落ちてきている。5年間をトータルしてみると、ここ2年あたりは下げどまっている状況ではある。」
臼井貴彦委員
『当初、60%と予測したが、実際は44.3%で、下げどまっているといっても、これでとまるかどうかもわからない状況である。大体、半分以上行くのではないかという想定だったのか、そこら辺の見込みの根拠を雑駁で構わないので伺う。』
学校保健課長
「委員が言われるとおり、最初についてはそれなりの喫食率を見込んでいた。平成23年度から始まった債務負担ではなく、1年前に終わっている平成22年度から南部の15校で始めた債務負担行為については、当初、60%近くあった状況もあり、見込みは合っていたと思っている。』
臼井貴彦委員
『今後、メニューの改善等、いろいろ工夫はされていくと思うが、大体、何%ぐらいを目指していくのか。 』
学校保健課長
「できるだけ多くの生徒さんたちに食べてもらいたいと考えている。
今後5年を考えていく中では、少なくとも50%は見込んでいきたいということで検討しているところである。」
予算についての話で、流れをしっかり読むためには予算案まで見なくてはならないのですが、申し訳ありませんがそこまでを読み解く能力と余力がありませんのでご勘弁ください😣
しかし、喫食率について重要な話がこの時の委員会で話されていたことが分かります。
中学校給食が導入された当初は60%の利用を見込んでいたにも関わらず、5年経過して44%に下がり、この時点では「下げ止まり」と市は言っていますが、実際は40%ほどまで下がっています。臼井議員の「下げどまっているといっても、これでとまるかどうかもわからない状況」という発言が現実のものになってしまいました。
この委員会の翌年1月から汁物が導入され、喫食率の上昇が期待されたのですが、それも見込み違いでした。
この答弁を引き出した臼井議員が議会でその点について追って質問等することなく、次に給食についての発言をしているのは、それから4年半後、2020年9月議会の代表質問です。
令和 2年 9月定例会議 代表質問
臼井議員
『学校給食は児童生徒の心身の健全な発達に資することを目的として実施されているが、昨今は少子化や財政状況を加味しながら、施設の在り方も含め、議論がなされている。本市では、学校給食の在り方についての検討に取り組んでいるところと承知しているが、改めて現在の学校給食についての課題認識と取組状況について伺う。』
教育長
「小学校給食については、老朽化が進んでいる給食施設の改善が必要であり、中学校給食については、デリバリー給食の改善や将来的な全員喫食による完全給食の実現に向けた検討が必要であると認識している。また、取組状況としては、昨年度、本市における学校給食の今後の在り方を検討することを目的とした庁内検討組織を設置し、他市の取組事例の視察調査など、情報収集を行った。学校給食は児童生徒の心身の健全な発達を促すなど、重要な役割を果たすものであることから、今後についても、本市にふさわしい学校給食の在り方について、財政状況を踏まえながら、検討を進めていきたいと考えている。」
臼井議員
『給食室を施設として捉えたとき、公共施設マネジメント推進プランでは対象になるが、学校施設長寿命化計画の中では独立の給食室は対象ではない。答弁であった小学校給食における老朽化が進んでいる給食施設の改善、そして中学校給食における将来的な全員喫食による完全給食の実現については、本来、相模原市立小中学校の望ましい学校規模のあり方に関する基本方針に基づく取組との整合性を図りながら、施設マネジメントとしての経済合理性も含めて検討が進められるべきものである。そして、その中心になるのは、子供たちに安全でおいしい給食を継続的に絶え間なく提供していくことで、そのために必要な方式はどのような方式であるかということである。単独調理場方式、親子方式を含む共同調理場方式、デリバリー方式の採用については総合的に判断していくべきものと考えているが、それぞれのメリット、デメリットも含めて、本市の状況についてどのように整理しているのか伺う。』
教育局長
「給食の提供方式については、給食の質や食育、アレルギー対応などの柔軟性、財政に与える影響など、多様な視点から検討する必要があると考えている。今後、こうした視点や地域特性なども考慮しながら、本市にふさわしい学校給食の在り方について、長期的な視点を持って検討を進めていきたいと考えている。」
臼井議員
『市民からの関心も高く、子供たちの成長に欠くことのできない食育や学校給食の現場でありながら、さきの答弁であったように、方式ごとの是非として捉えられている嫌いがある。今後、さらに少子化が進み、学校の統廃合さえも進んでくる中、集約化、多機能化の観点からも議論を冷静に進めていくことが学校給食の将来にとって必要と考えている。例えば、横須賀市は中学校完全給食をセンター方式での実施とした。早急に方向性を定めていただくことを強く要望する。』
出ました、相模原市お得意の答弁。
「本市にふさわしい学校給食の在り方について、財政状況を踏まえながら」
しかも「長期的な視点」をもって検討。
もはや、中学校給食の方式を変えられない理由として使われる伝家の宝刀のような言葉。
五十嵐議員の回(その3)でも書きましたが、子どもたちにとってふさわしい学校給食が、市の財政状況によって振り回されていいものではないはずです。
長期的な視点で考えている間に一体何万人の中学生が卒業していくのでしょうか。
そして、臼井議員(代表質問ですので、会派としての考えかもしれません)の要望は、センター方式を採用した横須賀市の例を出した上での「方向性を定めること」となっています。「方式ごとの是非」とありますが、それもやはり、視点は財政にあるように感じます。
臼井議員、学童や幼児教育の充実を公約に掲げているということは、働く保護者の視点に立てる議員さんであると思っています。
だからこそ、全員喫食でありつつもコストを抑えることが可能なセンター方式をプッシュしているような発言をしているのかもしれません。
であれば、さらに臼井議員の思いに近いのは「地域のための給食施設」ではないでしょうか。給食センターを学校のものだけと捉えず、地域の防災や食育のための施設と考える。
上記のような設備ができると、例えば夏休み中、学童を利用している子どもたちに給食を運ぶことが可能になるかもしれません。
臼井議員は「多機能化の観点」とも発言されていますので、「公共施設としての給食設備」にもしかしたらご興味をお持ちなのかもしれないな、と思いました。
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