有機“的”栽培米が今年も提供されました(後編)

今年度で3回目の提供となる市内産の「有機“的”栽培米」の給食での提供。

前編では提供した学校のブログを紹介し、「有機“的”栽培米」を食べた子どもたちの反応を見てみました。

後編では、相模原市がこの「有機“的”栽培米」を給食に取り入れている理由や、実際にかかっている費用等、そして私たちが考えている問題点等についてまとめたいと思います。


まず、相模原市はなぜ「有機“的”栽培米」を給食で提供しているのか。

私たちからの問い合わせに市からは

相模原市有機農業実施計画の中で、「学校給食での活用に向けた費用や規格等に係る課題の整理を進める。すでに有機農業に取り組んでいる農業者の生産物について、一部の学校での試行的な活用に向けて検討・調整する。」としています。

と回答をいただきました。

相模原市有機農業実施計画は、有機農業の面積、販売数量、農業者数それぞれの増加目標を定めた計画です。その目標達成の手段として「一部の学校での試行的な活用に向けて検討・調整」が含まれているため「有機“的”栽培米」が給食で提供されているのです。

有機農業を拡充したい→販路として給食を視野に入れたい

短絡的にいうとこういうことなんだと思いますが、給食って食材費を負担しているのは保護者です。

一般的に有機農産物は高いです。有機農産物を取り入れるとなると給食費は2倍3倍になるでしょう。

ちなみに今年度提供されたお米の価格は以下の通り。

有機“的”栽培米   ………9,360円 / 10kg
通常使用しているお米……4,300円 / 10kg (10月までは3,900円 / 10kg)

倍以上の価格になっています。今年度は「有機“的”栽培米」を770kg購入していますので、約72万円の費用がかかっています。でも、今回は国の「みどりの食料システム戦略」の予算から費用が出ているので、保護者の負担はゼロです。国のお金で買っているので!

・・・・ん?でも、国のお金って、誰のお金?

結局、高いお米代を負担しているのは私たち市民です。


「でも、体に良くておいしいお米を子どもたちに食べさせてあげられるならいいんじゃない?」


そんな声も聞こえてきそうです。

でも、その言葉、裏を返せば「いつもの給食のお米は体に悪くてまずい」と言っていることになります。

昨年もブログに書きましたが、有機農産物だからと言って、「体にいい」「おいしい」などのエビデンスがないことは教育委員会も認めています。


ここは、きちんと市や教育委員会や学校が「みどりの食料システム戦略」を理解し、それに沿って有機農場を相模原市は増やそうとしていること、その意味や意義を学校を通じて保護者からさらに市民へと知ってもらうという「土壌づくり」があって初めて税金を使ってでも高い有機農産物を給食に提供する理由を理解することができるのではないでしょうか。


ところが相模原市のやっていることは。


昨年指摘したにも関わらず、今年も問題発言の多い生産者産のお米を購入し、さらに小学校で講話をさせてしまったのです。講話があることを知り、私たちはすぐに教育委員会へ連絡をし、エビデンスのないことや子どもたちを傷つけることにつながる発言をしないよう事前に確認、打ち合わせ等をしていただくよう要望をお伝えし、同意をいただきました。

そして提供当日。生産者さんの講話の様子はテレビ神奈川で放送されました。

その画面に映し出されたのがこちら。

赤線引かせていただきました。

「農薬が体に良くない」
「(農薬が)自然環境を汚染する」

え?市も事前に確認したんじゃなかったの?

こういうことを伝えないようにしてほしい、って伝えたつもりだったのに!

エビデンスがないから伝えてはいけないというだけではありません。

この学校にもし、農薬を使った栽培をしている農家さんのお子さんがいたら、本人や周りの子は何を感じるでしょうか?

この生産者さんは、FBで「農薬を使った米は人が食べるものじゃない」「農薬は大量殺戮兵器」とまで発信しています。講話でそこまで言ったかどうかはわかりませんが、その思想を持っているからにはそのニュアンスはどうしても出てしまうのではないかとも思います。

慣行栽培の農家の家庭の子が「私の家で作っている作物は体に良くないし、環境を汚している」と思ってしまったり、クラスメイトから「お前んちの畑って農薬使ってるの?」と訊かれたりすることがあるかもしれません。SDGsを学んでいる最近の子どもたちは殊更、こういったことに敏感です。

相模原市は「有機農業を増やす」という目的達成のために、子どもたちに誤った情報を伝えるだけではなく、いじめや風評被害を生みかねないことをしているのです。


なお、この生産者さんがご自身のお米が給食に使用されると決まったことをFBに投稿しているのですが、その投稿についたコメントに対して

戻ってくるお米(残飯)がとても少なかったそうです。それで、給食課も農政課も気を良くして、今年も実施に踏み切ったようです。(笑) 生徒たちはご飯がおいしければちゃんと食べるんですよね!まずいご飯ばかり出しているから、大量に戻ってきてしまうんです。通常は産地も分からない複合ブレンド米を使っているそうです。

と返信していました。

この内容もかなり怪しいと思い、学校給食課に①有機“的”栽培米を提供日とその他の日の主食の残食率の違い、②通常のお米は産地のわからない複合ブレンド米を使っているのか、の2点を問い合わせました。回答は以下の通り。

①令和4年度の残食率について、学校に確認したところ、小川さんのお米を提供した日は、他の日と比較して1/2程度であり、残食率が低くなった理由としては、生産者である小川さんの顔が見える食育をしたこと、提供日がイベント給食と重なったこと等が考えられるとのことでした。
②本市では、産地が不明な複合ブレンド米を使用することはありません。そのため、事実誤認がある旨を小川さんにお伝えしました。現在、該当する投稿は削除されているものと承知しています。

①に関してはやはりプラシーボ的な何か、というしか無いのでしょうね。

②については、生産者さんはなぜ事実誤認をしてしまったのでしょうね。

そして、普段のご飯を「まずいご飯」と表現する方を公教育の場に講師として呼んでしまった相模原市や該当校の管理職の皆さんにはその問題点を今一度よく考えていただきたいです。

来年度以降も相模原市はこの事業を継続する予定だそうです。

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