相模原市は2021年6月から「学校給食あり方検討会」を立ち上げ、検討会(関連する課の課長が委員)とワーキンググループ(関連課の主事等が委員)により、今後の相模原市の学校給食について議論を重ねています。
私たちはその会議録と資料を情報公開請求により入手し、内容をチェックしています。
ここまでの流れで、相模原市は全員喫食の中学校給食の実施に向けて具体的に動いていることは見て取れていました。
しかし、今月手に入れた9月〜10月に開催された検討会とワーキンググループの会議録と資料を見て非常に驚いています。
※まだ庁内での検討資料であり、決定事項ではありませんが、このまま話が進むことには問題があると感じ、ブログに書くことにしました。
全員喫食の給食の実現に向けて、自校方式、親子方式、センター方式それぞれの方式の試算が必要になります。
その際のパターンとして、
- 全校自校方式
- 全校センター方式
- 全校デリバリー方式
- 併用A 自校方式+親子方式
- 併用B 親子方式+センター方式
- 併用C 自校方式+センター方式
この6パターンが示されていました。
全員喫食実施にあたり、一つの方式にこだわることなく、それぞれの学校に適した方式で実施してくれるのね!素晴らしい!!
と思っていたのですが、読み進めていくと驚きの内容が。
親子方式は実現可能性が低いとして試算プランから外されているのです。
弁当箱方式(デリバリー方式の全員喫食)は保留とされています。
そしてさらに驚く議論が。
「小学校への給食提供分も含めた給食センター2ヶ所整備するという想定か?」
→「ドライシステム化が困難な場合も想定される。市民の理解をいただきながら検討する必要がある」
一部の小学校のセンター方式化の話が出ています。
相模原市の小学校は多くの学校で自校方式による給食が実施されているのですが、そのうち28校の給食室は「ウェット方式」というシステムです。衛生上の観点からドライ方式に変更することが国から求められているのですが、ウェット方式からドライ方式の給食室に建て替える場合、それまでよりも広い敷地が必要になります。また、校舎併設の給食室の場合、単体の調理場に建て替える必要も出てきます。その場合も当然、新たな敷地が必要になります。そういった意味で、ウェット→ドライの変更が困難な学校があることは承知しています。
しかし、相模原市はセンター方式の学校も順次自校方式に変えていくことを2003年に政策決定しています。(2018年9月定例会議 長谷川議員の質問より)その政策決定を無視してセンター方式の小学校を増やすことは簡単に認めていいことではないはずです。
それにもかかわらず、一部の小学校の給食をセンター方式に変える話が出てきています。
私たちがこの会を立ち上げたのは2018年。
相模原市が老朽化した給食室対策として、【小学校同士の親子方式】の案を出したことがきっかけです。小学校の自校方式の維持を求めることが会発足のきっかけでした。
しかし、いつの間にかその小学校同士の親子方式案は「実現不可能」として立ち消えていました。
しかし、2019年の市長選挙で本村市長は「小学校・中学校間で行う本来の親子方式」を掲げて立候補し、当選。親子方式による中学校給食が実現されることを期待し続けた3年間でした。
それなのに、全員喫食の中学校給食が具体的に議論されていく中で、親子方式については試算すらしない方向で話が進んでいます。
本村市長の公約にはさらに「小学校の自校調理はやめず」とも記されています。しかし前述した通り、実際は一部の小学校は自校調理をやめてセンター方式化する議論がなされています。
公約実現に関しては、最近、横浜市の山中市長の就任後初めての予算案が報道されましたが、「3つのゼロ」や「全員喫食の中学校給食」など、公約の中心とされていた政策が予算に組み込まれていないということで、批判的な意見が多く上がっています。
しかし、山中市長は公約を「市民の皆さんとの約束なので実現に向けてしっかりと取り組んでいきたい」と発言されています。
本村市長はどうでしょうか。
1月7日の定例記者会見と同日に行われた総合教育会議で中学校給食実現に向けての意気込みを語っていますが、方式については触れていません。会見では「公約は親子方式では?」と質問する記者さんもいなかったのでしょうか?
今一度、本村市長には市民との約束はなんだったのか、公約に掲げた責任について考えていただきたいです。そして私たち市民も市長や市議会議員が公約を無視した動きをしていないか見つめることが大切だと思います。『はりぼて』の公約にしないために。
定例記者会見と総合教育会議での発言をyoutubeで聞くことができます。
(UDトークによる文字起こし)
『その中で学校給食に関しては、昨年、鈴木教育長初め教育委員会の皆様のご尽力によりまして、中学生の生徒、デリバリーを食べてる皆さんや、あとは自前でお持ちになってる方、学校給食の方もいらっしゃるんですが、それから先生、保護者の皆さんにもアンケートをとってですね、やはり温かい給食を食べたいということでありますので、12月にも話しましたが、やはり、この完全喫食に向けて、近隣でも川崎市、横須賀市、等々、秦野市かな、も含めて行われておりますし、広島市も政令市の中で令和9年1月を目指すというお話をいただいておりますので、私自身はですねやはり学校給食の完全喫食に向けてですね、実施方針を教育委員会とともにですね、作って考えていきたいと思いまして、今日も午後4時から総合教育会議がございます。その中ではコロナ禍におけるですね教育のあり方とか、それから中学校の完全喫食に向けたですね、議論を2件、教育委員の皆さんと教育長を交えて行う予定でございますので、やはり一つ大きな課題はやはり一歩二歩と前進させなきゃいけない、中学校完全喫食に向けた学校給食かなと思っております。』
『中学校給食のあり方の見直しについては、これから先ですね大人になって本市を支えていく子供たちがですね、温かく美味しい給食を食べて、豊かにですね、また健やかに成長するための取り組みでありまして本市が将来像として掲げている“潤いと活力に満ち、笑顔と希望があふれる相模原”の実現に繋がるものであるっていうことからですね、本市としても非常に必要な取り組みだと思っています。
そうした中においてですね、学校給食…私もあの川崎市のですね実例を見ると、市長が変わって4年間で、センター方式を仕上げてます。これを聞いて、私ちょっとスピード感ということで教育長にも少し持ってやりましょうという話をさせていただいたんですが、先ほど説明がありましたように、このデリバリーですね、民間調理業者との契約満了時に改定後10年を×××(聞き取れず)ことを見据えて、将来的な実施方針について一定の方向を示させていただくということで、この間ちょっとデリバリーのですね、契約が結ばれたんですね。
ですから、なかなかこの間変えることは難しいかもしれませんが、広島市は令和9年1月を目途において準備を進めてます。
本市相模原市におきましてもスピード感を持ってですね、昨年は教育委員会の中でアンケート調査をやっていただいたり、ワークショップをやっていただいたり、一歩一歩進んでいるなというので、ぜひ今年には実施方針を皆さんで検討し、決めていきたいというふう思っていますので、ぜひ子供たちに寄り沿った学校給食が実現できるようにしていきたいなと思います。』
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