4月に行われた市議会議員選挙後最初の市議会、6月定例会議が開かれました。
初当選を果たした新人議員さん達がどのような質問や発言をするのか、市議会ウォッチを楽しんでいる私たちとしても要注目の定例会でした。その注目していた新人議員さんのうちの一人、こさわ隆宏議員が一般質問で中学校給食のことを取り上げてくださいました。
6月26日に控える一般質問の通告を済ませました。
— こさわ隆宏【日本維新の会/相模原市中央区】 (@kosawa_takahiro) June 19, 2023
初登壇となる今回は「中学校給食について」一本で行きます。
持ち時間が20分のところすでに原稿が6,000字を超え、このままでは1問目で15分以上となってしまうため、この一週間で内容を精査します。
よし引き続き頑張ろう✊#相模原市議会 pic.twitter.com/wYqfic39rM
初めての一般質問にも関わらず、割り当てられた時間の全てを中学校給食についての質問に費やす徹底ぶり。正直、ここまで中学校給食について興味を持っている方だとは思っていませんでした。
こさわ議員の通告はこちら↓
多くの方に内容を知っていただきたいので、こさわ議員の質問と市の答弁をまとめてみました。
なお、質問と答弁の文字起こし全文は本文最後に記載しています。
(1) 学校によりセンター方式よりも望ましい方式がある場合の導入可能性について
○こさわ議員
【相模原市立中学校完全給食実施方針の改訂に向けた中間取りまとめ】の中で給食提供の実施方式として、「センター方式を基本とします。また、センター方式の導入が困難な学校が生じた場合については自校方式、親子方式の順で検討します」ということが記載されているが、センター方式の導入が困難な学校が生じた場合だけでなく、学校によってはセンター方式よりも望ましい方式がある場合も当然想定されるべきだと考える。
教育委員会としては、今後、センター方式よりも望ましい方式がある場合について全く想定していないのか。センター方式よりも望ましい方式が認められる場合に、その方式を導入する可能性はないのか。
早期実現という観点からは、自校方式が可能な学校については先行して進めていくという方向性も考えられるが、これまでの自校方式の検討状況と早期実現の可能性について伺う。
◉教育長
学校給食あり方検討委員会において、各中学校の現地調査等の結果に基づき、自校方式、親子方式を含めご審議いただき、早期に実現可能なセンター方式を基本とする旨の中間答申をいただいた。これを踏まえ策定した学校給食施設整備方針に基づき、全員喫食の早期実現に向け、センター方式を基本として取り組んでまいる。
(ちょっと待って!「早期」の解釈が違っているということはあり方検討委員会でも散々伝えてきたのに!そこを無かったことにするようなこの答弁にはガッカリ。)
(あり方検討委員会で出てた疑問なんかは届かないものなのか…)
○こさわ議員
食育の観点から、離れた場所で調理するセンター方式より、子どもたちから顔の見える身近な場所で調理する自校方式や親子方式の方が望ましいと考えるが、見解を伺う。
◉教育長
国が例示する中学生に対する食育の指導目標は、「自らが主体的に望ましい食習慣を生成し、健康の保持増進に繋げること」や、「食品の品質を見分け、適切な選択ができること」などとされている。センター方式は、この指導目標を満たすものと認識している。
(「××のためには〇〇より△△が望ましいのではないか?」というYES or NOで答えられる質問に対して「〇〇でも□□はできる」と答える論法?)
(国の指導目標を満たせれば、相模原市にふさわしい給食ってことなのか。なんともがっかりな答弁だな)
(2) センター方式に自校方式や親子方式を併用することについて
○こさわ議員
市の調査結果によると、自校方式のための給食室整備の可能性がある学校は30校中7校。可能な限り早期にという観点からは、一部でも自校方式が可能な学校については先行して進めるべきであると考える。
実例として川崎市では、自校方式2校、小中合同の合築方式2校、その他の学校のセンター方式と、それぞれの整備を同時並行で進めた結果、自校方式の方が3ヶ所のセンター方式と比べて、8ヶ月から11ヶ月早く提供を開始することができている。
センター方式を基本としつつも、自校方式により全員給食を実現できる可能性がある2校と5校については、より詳細な調査や生徒保護者へのアンケートなどを実施するなど、引き続き検討を重ねていくべきと考えるが、見解を伺う。
回答なし
○こさわ議員
親子方式導入にあたり最も大きな課題は、「親」となる小学校の給食調理の余剰能力と、「子」となる中学校の必要食数の不均衡によるものと認識をしている。検討委員会に提示された資料に加えて、より多くのモデルケースの調査検討がなされてしかるべきであると考える。
先ほどの自校方式に関する質問と同じく、親子方式についても、これまでの検討状況と今後の検討方針について伺います。
回答なし
○こさわ議員
学校ごとの詳細な検討により、自校方式や親子方式の優位性が認められた学校については、それらの方式を併用するなど柔軟な対応をしていくべきと考えるが、見解を伺う。
◉教育長
自校方式については、中学校の敷地や校舎の配置などから教育活動や学校運営の影響の点で、また親子方式については、小学校給食室の供給能力の点で課題があることから、令和8年中の全員喫食の実現に当たっては、他の方式との併用は考えていません。
(令和8年中の全員喫食の実現にあたっては、ってじゃあいつなら考えるの?)
○こさわ議員
令和8年中の全員喫食の実現に当たっては、センター方式と自校方式、親子方式の併用は考えていないとのことだが、あり方検討委員会からの中間答申では、今後の検討課題として「自校方式および親子方式も排除せずに見直しを定期的に行うべきである」とされている。
教育委員会としてこの定期的な見直しについてどのように捉えているのか伺う。
◉学校給食規模適正化担当部長
中学校完全給食実施方針の改定に向けた中間取りまとめにおいても、長期的な視点のもと定期的な見直しを行うこととしている。現時点では、センター方式を基本として全員喫食を実現することが優先と考えており、実現後、課題や改善すべき点等を把握した上で、適切な時期に見直しに取り組むものと考えている。
(他自治体を見れば課題などは前もってわかるのに、なんで大規模センターを建てた後じゃないと把握できないの?)
(大規模センター作った後で方式の見直しして、変更する余裕なんてあるの?大規模センターと決める前に見直す必要があるんじゃないの?)
○こさわ議員
児童生徒数の推計から、親子方式の将来的な導入可能性は高まると考えるが、見解を伺う。
◉学校給食規模適正化担当部長
親子方式の導入については望ましい学校規模の実現に向けた取り組みの影響や、給食室の改修の状況等も踏まえ判断する必要があるものと考えている。また、供給能力の他、建築基準法上の制限等の課題についても整理する必要があるものと認識している。
○こさわ議員
ただいまの答弁で、建築基準法上の課題についての言及がありました。
親子方式の導入にあたっては、用途地域の規制上、多くの学校で建築基準法第48条但書の許可が必要になるものと承知をしている。親子方式を採用すると、親校の給食室が食品工場扱いとなり、本市では、住居系地域に存在する多くの小学校で、用途規制に合致しなくなってしまうために、特定行政庁の許可を得る必要がある。
他市において親子方式の給食を採用している自治体は、ほぼこの但書許可を得て実施しており、本市において許可を出す権限を有するのは、誰でもなく市長。この但書許可について、これまで本市の状況に即して、どこまで具体的に調査検討したのか伺う。
◉学校給食規模適正化担当部長
学校給食施設整備方針に基づき、センター方式を基本とした全員喫食の早期実現を目指しており、親子方式を前提とした詳細な設計など具体的な調査検討は実施していない。
(用途地域変更に2~3年かかるって検討委員会では言ってたけど議会では言わないのかぁ。それに、学校給食設備整備方針が策定されたのはつい先日。それに基づきって何?最初からセンターありきで進めてたから具体的な調査検討をしていないと明言したようなものでは?)
(実施してないんだ。あり方検討委員会なんて言っても、センター中心に賛成させるためにやってたなら茶番じゃん)
○こさわ議員
自校方式を検討するにあたり教育委員会として中学校の現地調査等を行っているが、あくまでも既存施設はそのままに、空いている土地に給食室を建てることを前提にした調査から、教育活動や学校運営への影響を図ったものであると承知している。
今後の検討にあたっては、既存施設の移設や使用していない施設の取り壊しにより、給食室を整備できるかなども含めて、より詳細に調査をしていくべきと考えるが、見解を伺う。
◉教育局長
生徒数の増減や校舎の長寿命化の状況などにより、教育環境は変化していくことが想定される。このため、実施方針の定期的な見直しを行いながら、給食の実施方式も含め、総合的に検討する必要があるものと考えています。
(だとするとやっぱり大規模センターで本当にいいのか立ち止まって考えるべきでは?)
(選択制デリ弁から全員喫食に変える今こそ総合的に検討する必要があると思うんだけど?)
(3) 自校方式や親子方式の導入可能性を考慮した給食センターの規模について
○こさわ議員
市全体として生徒数が減少していく中、それぞれのセンターの規模は慎重に決定されなくてはならない。財政的な観点からも、2ヶ所で100億円規模と試算されている給食センターの建設については、行財政構造改革プランを実施している本市の状況においては極めて慎重に検討されるべき。建設予定地域の周辺住民の生活や交通環境等に与える影響や、持続可能性の観点からも、なるべくコンパクトの設計が求められると考える。
給食センターの規模の最終的な決定に際してはさまざまな要因に加えて、自校方式および親子方式の併用的な導入可能性も考慮すべきと考えますが、市長の見解を伺う。
◉市長
令和8年中の実現を目指し、センター方式を基本に教育委員会と連携して取り組みを進めている。新たな給食センターについては、令和8年の生徒数のほか、既存の給食センターの再編や小学校給食室の改修、災害時の対応等も見込んだ施設や規模とするものと考えている。
(質問と答えが噛み合っていないような気がするのですが・・・。というか、市長が初当選された時におっしゃていた「本来の親子方式」という公約はどこへ?)
(市長としての熱い想いみたいなものはないんだな、お任せって感じ。)
○こさわ議員
将来的には実施方式を含めた定期的な見直しを行っていくものの、まずは全員喫食の実現を考えており、見直しについて具体化には至っていないものと認識した。
給食提供の実施方式の見直しには当然一定の期間が必要であり、将来的にセンター方式で困難な事態が生じてから他の方式の見直しに着手するようでは、当の子どもたちにとって大きな不利益となることは目に見えている。
市長・教育長を初め当局の皆様には、中学校給食を政策的な観点からだけでなく、子どもたちの生活に直結するものであるという事実から重く受けとめていただき、今後の中学校給食の実施方針に生かしていただきたい。
学校給食の改善の一つの意味での終着点は、給食費の無償化であると個人的には考えている。全ての子供たちが分け隔てなく、お金の心配をすることもなく、同じ給食を義務教育の9年間、食べることができる環境を構築ししていくことの実現を強く望んでいる。
(「政策的な観点からだけではなく」ほんとそう!)
説明や補足部分はなるべく省略して概略が伝わるようにしたつもりではあるのですが、なにしろ給食一本の質疑なので長くなってしまってすみません。
間に答弁を聞いての私達の感想を入れてみたのですが、やはり相模原市は最初から「センターありき」で話を進めてきたと思わずにはいられません。
また、こさわ議員からは「センター方式で困難な事態が生じてから他の方式の見直しに着手するようでは、当の子どもたちにとって大きな不利益となることは目に見えている。」という指摘もあります。
実は、一般質問通告前にこさわ議員と公民館で偶然お会いし、その時に一般質問で給食のことを扱うことは聞いていました。その後、改めて面談の時間を作っていただき、検討委員会での様子等をお伝えさせていただきました。
7月3日、ついに最終答申を固める「学校給食あり方検討委員会」が開かれます。
今回の答弁を聞いたことによって答申の内容が大きく変わることはないと思いますが、少しでも思いを伝えられるよう私たちも頑張ろう!と勇気をいただきました。
こさわ議員、ありがとうございました。
【こさわ議員一般質問文字起こし】
※UDトークを使用して私たちが作成した文字起こしであり、公式のものではありません。
よろしければ議会録画もご覧ください。
日本維新の会、相模原市議団の小澤隆宏です。
通告に従い、本市の進める中学校給食の全員喫食方針について質問をさせていただきます。
私の今回の質問事項は、この中学校給食についての1点のみです。現在、そして将来の相模原市立中学校に通う生徒とその保護者の皆様に、より早くより充実した給食を準備して差し上げたい、その意志を持って質問をさせていただくものです。
本村市長、渡邊教育長をはじめ、理事者の皆様には、ぜひ明瞭かつ前向きな答弁をお願いいたします。
なお質問に先立ちまして、相模原の学校給食をよくする会の皆様のご意見や、これまでの活動について大いに参考にさせていただきました。この場をお借りしましてお礼を申し上げます。
それでは始めさせていただきます。
本市の教育委員会は、平成27年2月、相模原市立中学校完全給食実施方針の一部を改定し、将来的な中学校給食の実施方式について、「地域に応じた多様な方式の導入による全員喫食の完全給食が実施できるよう、小学校給食の実施状況も踏まえ、実施方式を検討する」ことを定めました。
そして昨年11月、相模原市学校給食あり方検討委員会からの中間答申を踏まえ、相模原市立中学校完全給食実施方針の改訂に向けた中間取りまとめを策定しています。この取りまとめの中で給食提供の実施方式として、「センター方式を基本とします。また、センター方式の導入が困難な学校が生じた場合については自校方式、親子方式の順で検討します」ということが記載されていますが、この部分の文言に疑義があるため質問いたします。本市にとって望ましい給食提供の実施方式としてセンター方式が基本であるとして、例外的にその他の方式を考える上では、取りまとめに記載されているセンター方式の導入が困難な学校が生じた場合だけでなく、学校によっては、センター方式よりも望ましい方式がある場合も当然想定されるべきだと考えますが、これについては記載がないため、教育委員会の姿勢が明確ではありません。
教育委員会としては、今後、センター方式よりも望ましい方式がある場合について全く想定していないのでしょうか。
また今後、実施にかかる期間や予算、当該中学校に通う生徒やその保護者の要望などを総合的に勘案し、学校によっては、センター方式よりも望ましい方式が認められる場合に、その方式を導入する可能性はないのでしょうか。
この点、まず前提として、給食提供の実施方式を巡っては、相模原市学校給食あり方検討委員会においても様々な議論がありました。
委員会としてふさわしいと判断する実施方式を決定するため、検討委員会第2回会議の末尾で、委員長から、二通りの決をとっています。
一つ目が、基本的な給食提供の実施方式として、センター方式を基本としつつ、可能な範囲で自校方式や親子方式の検討も進めるという大きな方向性についてであり、委員から特段の意見なく承認されています。
次の二つ目が、先に採決された通り、給食提供の実施方式としては、センター方式を基本としつつ、さらに自校方式、親子方式での優先順位を決める必要があるとして、相模原市にふさわしい実施方式はセンター方式とし、補助的またはセンター方式で対応できない場合は自校方式を優先させつつ場合によっては親子方式を検討するという内容についてです。こちらも委員一同から特に意見なく承認されており、これは第2回検討委員会の会議録でも明らかです。
しかしこれが検討委員会の第3回目の資料では、単にセンター方式の導入が困難な学校は、補助的に自校方式親子方式の順で検討すると意味合いが異なる表現で記載されており、会議の冒頭、委員からも異論があがりました。
最終的には、改めて多数決により、現在の文言に決定しており、そのことについて、ことさらに異論を唱えることはいたしませんが、当初の可能な範囲で自校方式親子方式も検討することを強く求める声があったことについては、あえてここで言及させていただきます。
以上の経緯を踏まえた上で、市に確認いたします。
相模原市学校給食あり方検討委員会においては、給食の実施方式について早期実現や持続可能性、適温提供食育など複数の視点で各方式を比較考慮の上、センター方式を基本とする結論を導いています。
そして教育委員会は、この答申をそのまま受ける形で、相模原市立中学校完全給食実施方針の改定に向けた中間取りまとめを作成したものと承知しています。
この点、早期実現という観点からは、例えば一部でも自校方式が可能な学校については先行して進めていくという方向性も考えられますが、これまでの自校方式の検討状況と早期実現の可能性について伺います。
また食育の観点からは、離れた場所で調理するセンター方式より、子どもたちから顔の見える身近な場所で調理する自校方式や親子方式の方が望ましいと考えますが、見解を伺います。
次に、一つ目の質問に関連して、センター方式と自校方式や親子方式の併用についての質問に移らせていただきます。
先月、市のホームページでは最終更新日が令和5年5月15日とされていますが、本年3月15日から4月13日まで募集されていました相模原市学校給食施設整備方針案についてのパブリックコメントの結果が公開されました。
42人の方から89件もの意見が提出されています。
意見が言っても得られないパブリックコメントも多い中、まずはこの結果が学校給食についての市民からの関心の高さを物語っていると考えられます。
そしてその中でも最も多くの意見が寄せられたのが、中学校給食の実施方式についての意見であり、89件のうち30件そしてその中でも実に28件が自校方式または親子方式を望むものとなっています。
この市民の皆様からの意見を踏まえた上で、センター方式に自校方式や親子方式を併用することについて、これまでの検討委員会における資料をはじめ、教育委員会が示している自校方式と親子方式の課題等についてそれぞれの調査内容とその説明に疑義があるため質問いたします。そもそもの前提として、これまで教育委員会が検討委員会に提示してきた自校方式、親子方式それぞれの課題は、基本的に全市一律に自校方式または親子方式を導入することを想定した内容になっており、先に述べた平成27年2月、教育委員会自身が策定した完全給食実施方針の一部改訂版における「地域に応じた多様な方式の導入による全員喫食の完全給食の方針」にはそぐわないものです。
センター方式の導入が困難な学校についてのみ消極的にしか異なる給食提供方式を認めない、いわば全市一律に実施することができるのは、センター方式であるという結論ありきのようにも、場合によっては見てとれるこれまでの進め方ではなく、ゼロから、地域の実情に応じた多様な給食提供の実施方式を考えるのであれば、他市の先行事例から見ても、例えば本市と同じ政令指定都市であるお隣川崎市のように、自校方式とセンター方式を組み合わせた方式や、大阪市のように自校方式と親子方式を組み合わせた方式などについても、本市での実現可能性をより詳しく調査検討されてしかるべきです。
なお、地理的な課題の面から個別に様々な給食提供の実施方式が検討されている藤野中学校については、今回の質問の例外とさせていただきます。
前置きが長くなりましたが、まずセンター方式と自校方式の併用についてです。
市の調査結果によると、自校方式のための給食室整備の可能性がある学校は30校中7校。
内訳としては、学校運営等に影響があるが、その影響が比較的小さい学校、いいかえれば自校方式を導入できる可能性が比較的高い学校が2校、これは上溝南中学校と相模台中学校です。そして教育活動に影響があり、2校と比べると導入可能性が低い学校が2校。小山中学校、中央中学校、共和中学校、麻溝台中学校、若草中学校とのことでした。
そして現実的には、多数の学校で自校方式の導入が困難であり、本市の目指す中学校給食の方向性の一つである、可能な限り早期に全員喫食を実現するという観点から、自校方式を基本としては早期に実現することはできないと結論付けられています。
しかし、可能な限り早期にという観点からは、むしろセンター方式により3年以上も先となる令和8年中を目標として、全市一律に進めていくことよりも、一部でも自校方式が可能な学校については、先行して進めるべきであると考えます。
実際に第3回検討委員会の席上でも、委員から給食調理施設の建設について自校方式の方が、センター方式よりも建てるのが遅いという根拠が示されていないとの指摘があり、この点については事務局である学校給食課からも明確な回答がなされていません。
さらに実例として、先述した川崎市では、自校方式以降、小中合同の合築方式2校、その他の学校のセンター方式と、それぞれの整備を通し並行で進めた結果、自校方式の方が3ヶ所のセンター方式と比べて、8ヶ月から11ヶ月早く提供を開始することができています。
また補足ですが、川崎市ではこのように自校方式、合築方式とセンター方式の双方を実施していることにより、残食率の違いなども明らかになっており、令和4年度最新の残食率のデータは、自校・合築が4.1%、センター高が13.2%と9%以上もの開きがあることを申し添えます。
以上の点から、センター方式を基本としつつも、自校方式により、全員給食を実現できる可能性がある2校と5校については、より詳細な調査や生徒保護者へのアンケートなどを実施するなど、引き続き検討を重ねていくべきと考えますが、見解を伺います。
続いて、親子方式についてです。
親子方式で導入にあたり、最も大きな課題は、親となる小学校の給食調理の余剰能力と異なる中学校の必要食数の不均衡によるものと認識をしています。
現状、近隣の小学校1校と中学校1校を親子とするには、親となる小学校の供給能力が不足しており、さらに複数の小学校を親とすることについても、異なる中学校の必要食数とのバランスがうまく取れないと試算をされていますが、実例として、お隣愛川町においては、学年ごとに別の小学校から中学校への供給が成り立っているケースもあり、検討委員会に提示された資料に加えて、より多くのモデルケースの調査検討がなされてしかるべきであると考えます。
また先ほど述べた通り、給食提供の実施方式の優先順位として、親子方式よりも先に自校方式の導入を実現できる中学校が複数校存在することを考慮すれば、その中学校事態を親校とすることも想定できるため、複合的に検討することも考えられます。つきましては先ほどの自校方式に関する質問と同じく、親子方式についても、これまでの検討状況と今後の検討方針について伺います。
またセンター方式を基本としても、こうした学校ごとの詳細な検討により、自校方式や親子方式の優位性が認められた学校については、それらの方式を併用するなど柔軟な対応をしていくべきと考えますが、見解を伺います。
続いて3問目。
三つ目の質問、現在までに想定されている給食センターの規模について質問をいたします。
一つ目および二つ目の質問で述べた通り、自校方式と親子方式の実施可能性については、いまだ多分により詳細な調査の説明が必要であるとの立場から、給食提供の実施方式として基本となるセンター方式を実現するための給食センターの規模についても、これらのさらなる検討を踏まえながら決定していくべきであると考えます。
現在までに計画されている北部と南部の給食センターの規模は、仮称北部学校給食センターが約8000食、仮称南部学校給食センターが約9000食と伺っていますが、市全体として生徒数が減少していく中、それぞれのセンターの規模は慎重に決定されなくてはなりません。
また財政的な観点からも、2ヶ所で100億円規模と試算されている給食センターの建設については、現在市長のリーダーシップのもと、行財政構造改革プランを実施している本市の状況においては極めて慎重に検討されるべきであり、他にも建設予定地域の周辺住民の皆様の生活や交通環境等に与える影響や、持続可能性の観点からも、なるべくコンパクトの設計が求められると考えます。
さらにこの点においては、基本となるセンター方式に加えて、自校方式や親子方式を併用する可能性により給食センターの規模も影響を受けることが予想されます。以上の通り、給食センターの規模の最終的な決定に際してはさまざまな要因に加えて、自校方式おやび親子方式の併用的な導入可能性も考慮すべきと考えますが、市長の見解を伺います。以上で1問目の質問を終わります。
◉市長
小澤議員のご質問にお答えいたします。
中学校給食の全員喫食についてでございます。令和8年中の実現を目指し、センター方式を基本に、教育委員会と連携して取り組みを進めています。新たな給食センターにつきましては、令和8年の生徒数のほか、既存の給食センターの再編や小学校給食室の改修、災害時の対応等も見込んだ施設や規模とするものと考えております。
◉教育長
教育委員会からお答えいたします。
初めに、中学校給食の実施方式についてでございます。
学校給食あり方検討委員会において、各中学校の現地調査等の結果に基づき、自校方式、親子方式を含めご審議いただき、早期に実現可能なセンター方式を基本とする旨の中間答申をいただきました。
これを踏まえ策定した学校給食施設整備方針に基づき、全員給食の早期実現に向け、センター方式を基本として取り組んでまいります。
次に、給食の実施方式と食育についてでございます。
国が例示する中学生に対する食育の指導目標は、「自らが主体的に望ましい食習慣を生成し、健康の保持増進に繋げること」や、「食品の品質を見分け、適切な選択ができること」などとされています。
センター方式は、この指導目標を満たすものと認識しています。
次に、センター方式と、他の方式の併用についてでございます。
自校方式につきましては、中学校の敷地や校舎の配置などから、教育活動や学校運営の影響の点で、また、親子方式につきましては、小学校給食室の供給能力の点で課題があることから、令和8年中の全員喫食の実現に当たっては、他の方式との併用は考えていません。
以上、お答え申し上げました。
◎小澤議員。
ここからは順次、2問目以降の質問をさせていただきます。
先ほどの答弁で、令和8年中の全員給食の実現に当たっては、センター方式と自校方式、親子方式の併用は考えていないとのことですが、あり方検討委員会からの中間答申では、今後の検討課題として自校方式および親子方式も排除せずに見直しを定期的に行うべきであるとされています。教育委員会としてこの定期的な見直しについてどのように捉えているのか伺います。
◉学校給食規模適正化担当部長
学校給食あり方検討委員会からの中間答申を受け、昨年11月に教育委員会として策定いたしました中学校完全給食実施方針の改定に向けた中間取りまとめにおきましても、長期的な視点のもと、定期的な見直しを行うこととしております。
現時点においては、センター方式を基本として、全員喫食を実現することが優先と考えており、実現後、課題や改善すべき点等を把握した上で、適切な時期に見直しに取り組むものと考えております。
以上でございます。
◎小澤議員。
見直しを定期的に行う上では、今後も各方式について引き続き、より詳細な調査を進めていくべきものであると考えています。
先ほどの答弁で、親子方式を検討するにあたり、喫緊の課題となっている小学校給食室の供給能力の不足については、全市的に減少傾向となっている児童生徒数の推計から、将来的な導入可能性は高まると考えますが、見解を伺います。
◉学校給食規模適正化担当部長
児童生徒数の減少に伴い、今後小学校給食室において活用可能な余剰が増すことも想定されますが、親子方式の導入につきましては、その可否も含め、望ましい学校規模の実現に向けた取り組みの影響や、給食室の改修の状況等も踏まえ判断する必要があるものと考えています。
また、供給能力の他、建築基準法上の制限等の課題についても整理する必要があるものと認識しています。
◎小澤議員
はい、ただいまの答弁で、建築基準法上の課題についての言及がありました。
親子方式の導入にあたっては、用途地域の規制上、多くの学校で建築基準法第48条但書の許可が必要になるものと承知をしています。
念のためこの許可について補足説明をさせていただきますが、親子方式を採用すると、親となる小学校の給食室が食品工場扱いとなり、本市では、住居系地域に存在する多くの小学校で、用途規制に合致しなくなってしまうために、特定行政庁の許可を得る必要があるものです。
他市において親子方式の給食を採用している自治体は、ほぼこのただし書き許可を得て実施しており、本市において許可を出す権限を有するのは、誰でもなく市長です。
そこでこのただし書き許可について、これまで本市の状況に即して、どこまで具体的に調査検討したのか伺います。
◉学校給食規模適正化担当部長
学校給食施設整備方針に基づき、センター方式を基本とした全員喫食の早期実現を目指しており、親子方式を前提とした詳細な設計など具体的な調査検討は実施しておりません。
以上でございます。
◎小澤議員
はい承知をいたしました。
自校方式に進ませていただきます。
これまで自校方式を検討するにあたり、教育委員会として中学校の現地調査等を行っていますが、あくまでも既存施設はそのままに、空いている土地に給食室を建てることを前提にした調査から、教育活動や学校運営への影響を図ったものであると承知をしています。
今後の検討にあたっては、既存施設の移設や使用していない施設の取り壊しにより、給食室を整備できるかなども含めて、より詳細に調査をしていくべきと考えますが、見解を伺います。
◉教育局長
学校内には教室や運動場、屋内運動場など、教育上必要な様々な施設がありますが、生徒数の増減や校舎の長寿命化の状況などにより、教育環境は変化していくことが想定されます。
このため、実施方針の定期的な見直しを行いながら、給食の実施方式も含め、総合的に検討する必要があるものと考えています。
以上でございます。
◎小澤議員。
再質問をいくつかさせていただきまして、将来的には実施方式を含めた定期的な見直しを行っていくものの、まずは全員喫食の実現を考えており、見直しについて具体化には至っていないものと認識をいたしました。
ここからは要望させていだきます。
給食提供の実施方式の見直しには当然一定の期間が必要であり、将来的にセンター方式で困難な事態が生じてから他の方式の見直しに着手するようでは、当の子どもたちにとって大きな不利益となることは目に見えています。またすでに一部の中学校では給食センターでの調理から喫食まで2時間以内に行うべきという学校給食衛生管理基準の時間ギリギリとなる可能性があるという情報も伺っており、今後も提供方式の変更も含め、不断の見直しの努力を怠らないよう強く要望いたします。
私は現在、地区の民生委員児童委員を務めており、食を含めて、家庭生活に困難を抱える子供を目にすることが間々あります。
また地域の有志の方々と、いわゆる子ども食堂を立ち上げ活動を始めてからもうじき丸7年になります。
この間、子供たちにとっての食の大切さについて、まさに食とは生活の基盤そのものであるとともに、この食が満ち足りていない、または食を欠く環境にある子どもたちの大変さ、悲惨さについては重々承知をしているつもりです。
ぜひ市長・教育長を初め当局の皆様には、中学校給食を政策的な観点からだけでなく、子どもたちの生活に直結するものであるという事実から、重く受けとめていただき、今後の中学校給食の実施方針に生かしていただきたいと思います。
また一方で、食の確保にはお金がかかります。
我が家でも、大学生の長男、高校生の次男、中学生の三男、保護猫の四男の食事に頭を悩ませ、首が回らなくなったことが、テレビが回らなくなったことが一度や二度ではありません。
この点、学校給食の改善の一つの意味での終着点は、給食費の無償化であると個人的には考えています。
全ての子供たちが分け隔てなく、お金の心配をすることもなく、同じ給食を義務教育の9年間、食べることができる環境を構築ししていくこと。私はこの実現を強く望んでいます。
今後とも、この無償化を含めて、学校給食のさらなる改善に向けた検討を加速していただくことを強く要望させていただきますとともに、私自身も相模原市に住まう子どもたちの日々の生活と健やかな成長のために全力で与えていくことを誓いまして、今回の質問を終わりとさせていただきます。
ありがとうございました。
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