給食当番は現在班で行っているがそれをなくしてほしい。
理由はお弁当の人は家から自分で持ってきているのに給食を頼んでいる人の分をお弁当を持ってきている人が運ぶのはおかしい。
だから給食を頼んでいる人だけで給食を取りに行けばいいと思います。どうか改善してほしいです。
相模原市内のある中学校で配布された資料にこんな言葉があったという情報をいただきました。
おそらくどの中学校も学校環境の改善を目的としたアンケートを毎年実施していると思います。これは、そこに寄せられた中学3年生からの意見です。
素直で真っ当な意見だと思います。
お弁当持参の生徒は重いリュックにお弁当まで入れて登校しています。それなのに、その重い思いをしていない給食を頼んでいる生徒の給食まで運ばなければならないことに疑問を持つのは当然です。この情報をいただく前からも同様の意見を見聞きすることはありました。
しかし、学校給食はただの食事ではなく、「教育の一環」。給食当番を生徒が行うことに海外からは賛否両論あるようですが、「教育の一環」と位置付けているからにはそこで学ぶべきことがあります。学校給食法にも以下のように記されています。
(学校給食の目標)(抜粋)
第二条 学校給食を実施するに当たつては、義務教育諸学校における教育の目的を実現するために、次に掲げる目標が達成されるよう努めなければならない。
三 学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養うこと。
五 食生活が食にかかわる人々の様々な活動に支えられていることについての理解を深め、勤労を重んずる態度を養うこと。
六 我が国や各地域の優れた伝統的な食文化についての理解を深めること。
太字、アンダーラインを引いたところが「給食当番」を児童生徒が行なっている理由ではないかと思います。これらを先生方が理解し、生徒に説明することで給食を頼んでいなくても給食当番を担わなければならないということに納得できるようになると思います。
しかし、この意見に対する学校からの回答は・・・
ご意見ありがとうございます。現在給食を頼んでいる生徒が少なく、頼んでいない生徒にも準備をしてもらっています。
0点ですね。
《ダメな解答例》のような回答に驚きました。
これを読んで給食を頼んでいる生徒はどう感じるでしょうか。私なら「自分が給食を頼んでいるせいで迷惑をかけている」と考えてしまうかもしれません。
給食を頼んでいない自分が給食当番をすることに納得できていない生徒はどう感じるでしょうか。私なら「全員お弁当だったらいいのに」と考えてしまうかもしれません。
つまり、この回答は生徒間の分断を生じさせる可能性を孕んでいるのです。
デリバリー給食を実施している自治体の中には、給食を頼んだ本人が給食を取りに行くというやり方をしている自治体もあります。しかし、相模原は給食当番方式で実施しています。そこに教育的意義があると判断してのことだったのではないかと思います。(相模原市はデリバリー給食導入前はミルク給食を実施していたので、その名残もあるかもしれません)決して、「頼んでいる生徒が少なくて手が足りないから頼んでいない生徒に手伝ってもらっている」ということではないはずです。学校がそれを理解していないのなら、生徒がこのような疑問や意見を持つのは当然です。そしてその生徒に対してまともな回答はせず、極端に言うと「人がいないんだから黙って従え」と抑圧的とも取れる回答をしています。
もし、給食を頼んでいる生徒だけで給食当番を回せるほどの利用率があったらこの学校は給食を頼んでいない生徒には給食を運ばせていないのでしょうか。
小学校は全員喫食の給食を実施していますが、さまざまな理由で給食を食べていない児童はいます。その子たちは重たいランドセルと一緒にお弁当を持って行きます。そして、お昼の時間になればその子たちも(アレルギー等でなければ)給食当番をしています。なぜなら、配膳も含めた給食の時間が「教育の一環」だから。
それが中学生になり、給食が選択制になった途端に給食が「教育の一環」であるということを忘れ「仕方がないから手伝え」という認識になってしまうのはとても悲しいことです。
先生方にも、改めて給食の役割や目的を認識しなおしていただきたいと思いました。生徒から同様の意見や疑問を呈されたときに給食を頼んでいる生徒にも頼んでいない生徒にも説明できるようにしておいてもらいたいです。
そして同時に。
こんな意見を生徒が持たなければならないのも、こんな回答を学校がしなければならないのも、いつまでも選択制デリバリー方式なんて給食を続けていることが根本の原因です。4年前、本村市長は「親子方式」を公約に掲げて当選しました。就任からすぐに取り組んでいればそろそろ全員喫食の給食が開始されていたかもしれません。今の方針とスケジュールでは、給食開始までまだあと4年近くかかります。その間もきっと、冒頭の意見と同じ思いをする生徒は出続けるでしょう。それにより子どもたちが傷ついたり分断したりということがあるかもしれません。
この情報をくださった方は「選択式給食というのはこういうことも引き起こすのだということを本村市長にもよく理解してもらいたいです」とお話しくださいました。
本村市長、1期目の公約は果たされませんでした。2期目があるのかどうかは来週の開票日までわかりませんが、公約が実現できなかったことで子どもたちが傷ついている現実に目を向けて今後の活動に活かしていただきたいと思います。
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