アンケート回答前に知っておきたい給食のキホン

前回のブログに書いた通り、相模原市は「中学校での全員喫食の給食に向けたアンケート」を実施します。そのことを発信した市長のTwitterには、アンケート実施を喜ぶ声や改善を願う声が複数寄せられています。

アンケートの内容を私たちも見る事ができるのか、学校保健課へ電話で問い合わせたのですが、すぐに見られる状態のものはないそうです。情報公開請求をすれば見られるようですが、それは少し時間がかかります。そうこうしてるうちにアンケートが開始されてしまいます。

アンケートが開始される前に、回答権を持つ、現役の中学校の生徒、保護者、教職員の皆さんに給食についての基本的なことを知ってもらうと同時に、解答時に少し注意していただきたい事をまとめておこうと思います。

繰り返しますが、アンケートの内容を知りませんので、もしかしたらこれから書く事は思いっきり的外れかもしれません。アンケート内容が確認でき次第、内容は修正、更新していきます。


給食のキホン① 方式について

給食には4つの方式があります。

1.自校方式

  学校敷地内に給食室があり、自校の給食を調理します。

2.親子方式

 調理場を持つ学校(親)が、調理場を持たない近隣の学校(子)の分の給食を調理します。「小さなセンター方式」とも呼ばれます。

3.センター方式

 共同調理場方式とも呼ばれます。複数の学校の給食を一括で調理し、食缶に入れられて温かいまま各学校へ配送されます。

4.デリバリー方式

 業者弁当方式とも呼ばれます。民間業者が民間業者の施設で複数校の給食を調理します。ランチボックス形式でおかずは冷やされて配送されます。弁当併用(選択制)で実施している自治体が多いようです。


相模原市の小中学校の給食実施方法はこちらの表のようになっています。

(相模原市ホームページより)
小学校の多くは自校方式の給食が実施されています。敷地面積がないなどの理由で調理場を建てる事ができない小学校ではセンター方式の給食が実施されています。
合併前からから中学校でも給食を実施していた旧城山・津久井地域ではセンター方式による温かい給食が実施されています。

全ての方式で温かい給食を提供する事が可能ですが、デリバリー方式は基本的にはおかずは冷蔵で配送されます。温めるためのレンジを導入して再加熱方式を実施している自治体もあります。レンジなどを使用した再加熱方式のデリバリー給食でも、残念ながら利用率はあまり高くありません。
アンケートに「どのような給食を望みますか?」という設問があった場合、「温かい給食」とだけ答えると、デリバリー給食を温めるためのレンジの導入が改善策として挙がってしまうかもしれません。

「温かいまま運ばれる給食」「なるべく教室から近い調理場で作られる給食」などの文言がいいのではないかと思います。


給食のキホン② 完全給食とは?

給食には3つの区分があります。文科省のホームページからそのまま引用します。

1.完全給食

 給食内容がパン又は米飯(これらに準ずる小麦粉食品、米加工食品その他の食品を含む。)、ミルク及びおかずである給食

2.補食給食

 完全給食以外の給食で、給食内容がミルク及びおかず等である給食

3.ミルク給食

 給食内容がミルクのみである給食


最近たびたび書いていますが、相模原市は中学校完全給食の実施率は100%です。「どのような給食を望みますか?」という質問に対して「完全給食」という答えは適切ではありません。あなたのイメージする「完全」な給食を少しでも具体的に書くことをお勧めします。


給食のキホン③ 給食の役割

給食の役割を理解せずにいると

「全員で食べる必要はない」

「今の選択制で充分」

「おいしくないなんて贅沢」

「昔は給食なんてなかったんだからあるだけマシ」

などと思ってしまうかもしれません。

学校給食法第2条に、給食の目標が記されていますが、それがそのまま給食の役割であると思います。給食が、知育・徳育・体育・の教育の土台である食育の教科書である事が分かります。興味のある方はご覧になってみてください。

そして、学校給食法では触れられていない、給食の大きな役割のひとつが「セーフティネット」。様々な事情で食事を用意するのが困難な家庭を救う役割も担っています。選択制デリバリー方式の給食では、事前入金や事前注文が必要だったり、クラスで食べている生徒が少ないから頼み辛かったりといった理由でセーフティネットとなっていない場合もあります。

「デリバリー方式についてどう思いますか?」と言うような質問がありましたら、「給食の役割を果たせていないのでは?」という視点も含めて回答していただけたら、と思います。


給食のキホン④ 中学校完全給食実施率

これは平成30年の都道府県別の中学校完全給食実施率を現したグラフです。神奈川県で育った保護者の皆さんは、中学校には給食がないのは当たり前と思ってしまうと思いますが、全国の9割の中学校で温かい給食が実施されています。神奈川だけが遅れに遅れて44%。(横浜の数字が入ると60%台になります)「中学生にはお弁当を持たせるのが当たり前」と思わないでいただけるとありがたいです。


最後に

アンケートの設問数がどのくらいあるのか分かりませんが、私たちとしては、たった1問で済むのではないかと思っています。


【どちらの給食がいいですか?】

  1. 小学校で実施されているような給食
  2. 現在多くの学校で実施されているデリバリー給食


発表資料に書かれているアンケートの主な内容の中に「小学校給食との比較について」とあるので、小学校の給食と中学校の給食のどちらがいいかを訊ねる質問もあるかもしれません。もし、そのような質問がありましたら、ぜひとも「小学校のような給食」の方を選択していただけると嬉しいです。

キホンの①と②については、こちら↓の記事で詳しく書いています。

アンケートには、皆さんの正直な意見や気持ちを自分の言葉で書いて欲しいと思っています。しかし、その時に必要なキホンの知識がないと、上手く表現する事ができません。正しく言葉を理解していないとうまく伝わりません。せっかくの回答が思っていたのとは違う意味で受け止められてしまっては意味がありません。

このブログが、少しでもアンケート回答の際のお役に立てればと思っています。

一人でも多くのアンケート対象者の目に届くよう、シェア・拡散をお願いします。

次のブログに、回答時に注意が必要な言葉の言い換え方をまとめましたので、あわせてご覧ください。

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