「完全給食」、実は「不完全」? 〜相模原の学校給食の実際を知ってください。〜

※こちらの記事は、前ブログで2018年9月に書いたものです。
現在、相模原市ではすべての市立小学校72校、中学校37校で完全給食が実施されています。全校「完全給食」です。
(↑ある日の小学校給食)
小学生は、基本的にはみんなが給食を食べています。でも中学生は違います。

「完全給食」といっても、中学生みんなが給食を食べているわけではないのです。

相模原市の市立中学校は全37校ですが、そのうち30校は「選択制デリバリー方式」という方法で給食を実施しています。いわゆる事前注文式の仕出し弁当(料金前払い)のようなものです。
このデリバリー給食を利用するためには、生徒や保護者が各自注文をしなくてはいけません。
給食を希望する場合、4つの手順が必要になります。事前にコンビニ等で給食費を入金し、パソコンやスマホ又はマークシートで給食を注文する日を選び予約をしなければなりません。
給食を利用しない生徒は昼食を持参します。
(昼食を持参する生徒でも牛乳のみを注文することもできます。)
このデリバリー方式の喫食率は2018年度は41%でした。「完全給食を実施している」と聞いて、「実は半数以上は弁当を持参している」と思う方はあまりいないのではないでしょうか。
「相模原市立中学校完全給食実施方針」(相模原市教育委員会)によると、市は“将来的には全員喫食の完全給食の実施を目指している”とのことですが、喫食率はデリバリー給食が実施された22年度の58.6パーセントから53.9、49.0、46.4…と年々低下しています。 
また、全員喫食を目指しているとは言うものの、学校保健課に問い合わせたところ、現状の設備では、生徒全員分の給食を用意するのは不可能だと言うのです。実際の目標は60パーセント程度のため、設備もその程度の利用数を想定したものとなっているそうです。もし、100%の生徒から注文が入ったら対応できないのです。

全生徒分を用意できる設備もなく「完全給食を実施している」と言えるのでしょうか?

それからもうひとつ、相模原市の中学校給食が「完全給食」とは言えないのではないかと思う理由があります。
それは、給食によって摂取できる栄養に関しての理由です。
相模原市の中学校給食は現在、選択制と言う方式を取っています。
事前に献立表で献立を確認し、食べたい献立の日を選んで注文する事ができます。それだけ聞くと、「好きな献立を選べるならいいね」と思われるかも知れません。しかし、給食は栄養士さんが1週間分、または1ヶ月分の全体のバランスを考えて献立が作成されています。毎日食べてこそ、中学生が昼食で取るべき理想の栄養を摂取する事ができます。それなのに、例えば「肉料理の日だけ」を選んで、他の日は家庭弁当でやはり肉料理ばかりを持参していたら…バランスの取れた食事とは言えなくなってしまいます。
また、栄養バランスの事で言うと、残食も問題です。
「美味しくない」「冷たい」などの理由で残すこともあるようですが、「時間が足りない」という問題もあります。
↑こちらはある日の中学校給食の写真です。
献立は、冷しゃぶ(ごまドレッシング)、炒り豆腐、みそ汁、みかん&ナタデココ、ごはん、牛乳(877kcal)。これだけの量を食べるために用意されている時間はたった15分。まだ食べたくても時間が足りずに食べられないこともあるようです。
必要とされる栄養が摂取できずに「完全給食を実施している」と言えるのでしょうか?
完全給食とは、「主食・おかず・牛乳」が揃った給食の事を言います。食べる日数、利用する生徒の割合、食べる時間、残食については規定がありません。それは、毎日残さず全員が残さずゆっくり給食を食べられる事が当たり前のことと考えられているからではないでしょうか。
今の相模原市の中学校給食は、本来の完全給食のあるべき姿からは、少し…かなり?遠く、「不完全給食」と呼ぶべきなのでは?と思います。

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