自宅療養者向けの配食サービスを受けました。

2月28日、次女(小6)がコロナ陽性と診断されました。

そのお陰で知れたこと、体験できたことがありました。その経験が誰かのお役に立つかも知れないと思い、こちらに書き留めることにしました。

先にお断りしておきますが、給食とはあまり関係ないです。でも、共通点はあります。


【主な登場人物】

私=当会代表 おがた 濃厚接触者 ピアノ講師と福祉施設で働くシングルマザー
次女=小6 コロナ患者
長女=高1 濃厚接触者


陽性がわかって最初にしたことは、次女の通う学校、長女の学校、私の職場、私がお手伝い予定だったイベントの主催者などへの連絡。感染者の出席停止日数は学校はわかっていたようですが、「濃厚接触者となった場合」までは把握できていないようで、長女の学校からは「次に登校できるのはいつですか?」と先生から聞かれてしまいました。

感染者は、発症日を0日目として10日目まで、同居家族(濃厚接触者)は感染対策を開始した日を0日として7日目までが待機期間となります。詳しくは県のホームページをご覧ください。

それぞれへの連絡をしたり、家庭内の動線確保や感染対策(手洗い後のタオルをペーパーにして使い捨てにするなど)をしながら確認したのが、自宅にある食料の在庫。私が発症せず濃厚接触者で済めば8日間。その期間、備蓄品などを使えば買い物せずにどうにかなりそうだということを確認しました。

でも、もし8日目に発症したらそこからさらに10日買い物に行けない?!それは困る…。かと言って、食べるものが無くなったらウーバーイーツなどのデリバリーを利用するほどの経済的余裕はない=多少の不安はある。
そこで、神奈川県や相模原市の配食サービスについて調べてみました。

県のホームページには
ご希望の方は配食サービスを受けることができます。申請方法は下記の通りです。
とあるので、申請方法を見てみると…
高齢の方や重症化リスクのある方などの“重点観察対象者”または“経済的事情等により食料品の確保にお困りの方”が申し込めるとなっています。最初に《ご希望の方》とあるので、希望すれば誰でも支援を受けられるのかと思ったのですが、どうも条件を絞っているようです。ここで「自分は対象ではない…」と諦めてしまう方もいらっしゃるかもしれません。しかし、我が家は「経済的事情がある!」と、堂々と言える状況なので、戸惑うことなく電話をかけてみました。

電話を受けているのは、一般には非公開の「療養サポート窓口」。感染者として登録すると知る事ができます。そこは「全般的な問い合わせ窓口」となっているので、沢山の方が電話をかけているのでしょう。何度かけても話し中でつながりません。

県がダメなら市に問い合わせてみよう、と、今度は市の支援を検索。

市も支援を受けられる対象は県と同じ。重点観察対象者または経済的事情等のある方。県のサービスが届くまで4日ほどかかるので、そのつなぎとして市が実施しています。

しかし、申し込み方法には
神奈川県に配食サービスをお申込み後、「相模原市新型コロナウイルス感染症相談センター」へご連絡ください。
とあります。
えーと…、県につながらないのですが……

(「県につながらない場合はどうすれば?」と市に問い合わせる?いや、市の窓口もかなり混雑していると看護師さんが言ってた。そんな問い合わせで真に困っている方の電話がつながらなくなったりしては申し訳ない。市に言ったところでどうせ「県に申し込んでからにしてください」と言われるだけだろう。)

と思い、仕方なく県に電話をかけ続けましたが、その日は結局つながりませんでした。

次女は体温こそ39.6℃まで上がりましたが、食欲も普通にあり、それほど辛そうではありませんでした。


翌日。(発症1日目)

また、朝から県に配食サービスの申し込みの電話をかけます。

仕事をオンラインでするための手配の合間に何度もかけていましたが、やはりつながらない。

これはおかしい。どうにかならないのか?と思い、いつもお世話になっている五十嵐議員に状況をお伝えして相談してみることに。

五十嵐議員からのお返事を待っている間に、とうとうつながりました!呼び出し音が数回流れた後に自動音声が流れ、いくつかの質問に答え、「このまましばらくお待ちいただくか、しばらくしてからお掛け直しください」のアナウンスを聞き続けること6分(ただただボーッと自動音声を聞き続ける6分は長いです)。やっと、順番が回ってきました。

重点観察対象者かどうかを確認され、そうではないことを告げると「経済的事情の方でいいですか?」と聞かれました。ここで堂々と「はい!」と答えられれば条件クリアです。

誕生日や住所、発症日等で、登録されている感染者であることを確認し、申し込みが完了しました。配達は3日か4日後になるとのこと。

最後に「何かご質問は?」と聞いてくれたので、「具体的にどのようなものが届くのですか?」と尋ねると「えぇと…県のホームページを見ないと私もわからないのですが…」とのお答え。

(県のホームページを見て電話してるんですけどね。)

(それでわからなかったから聞いてるんですけどね。)

と思いながらも「では、県のページを見ますね」と告げて電話を切りました。


県に申し込めたので、今度は市に申し込むことができます。すぐに市の窓口に電話をしました。こちらもつながらない覚悟で挑んだのですが、意外にも1回目でつながりました。

県の申し込みが済んでいることを確認され、名前や住所等の確認で申し込み完了。16時までの申し込みならその日のうちに届けてくれるとのこと。うちは15時過ぎに申し込めたので、その日のうちに受け取ることができました。非接触の受け取り方に関しても、電話で丁寧に説明してくださいました。


県と市に申し込みができてから、五十嵐議員からお返事がありました。

「『何度電話しても県につながらない』など理由を伝えればできるだけ早く市からの配食ができるように臨機応変に対応している」

とのこと。

えぇー!?それ、ホームページのどこかに書いといてよー!私でさえ遠慮しちゃったんだから、諦めてる人、他にも絶対いるよー😠

という不満等もお伝えして、ホームページの記載の仕方が変更ができないか市に伝えていただくことになりました。


そしてその日に届いたものがコチラ↓

1人分、3日間を想定した量です。

おかゆ、ゼリー飲料、野菜ジュース、スポーツドリンク、カロリーメイト、ゼリー、のど飴、パックごはん、カレー、牛丼等々。さまざまなものが入っていたのですが、スープ類がとても多く感じました。それも「野菜たっぷり」系のスープ。

「食べやすいもの食べて、ビタミン摂って、暖かくしてね!」というメッセージが込められているように感じました。

スポーツドリンクは、粉のものを備蓄していたのでそれを飲ませていたのですが、ちょっと面倒だったので、ペットボトルが届いてよかったです。

食材が届いたことで、「私が体調を崩しても、子どもたちだけで何か食べることもできる。」という安心感を得ることができました。同時に、防災備蓄は私が健康で多少の調理ができる状態であることが前提だったなぁ、と反省もしました。

次女は微熱程度に回復していて、顔色もよく何も問題なく見えますが、喉の痛みを訴えることが増えました。のど飴が早速大活躍。


配食サービス申し込みから2日後。(発症3日目)

電話で告げられた予定よりも一日早く県からの配食が届きました。置き配や非接触ではなく、普通に宅配便の方が届けてくれました。

内容はこちら↓

1人分、8日間を想定した量だそうです。

カップラーメン(大盛り3個、うどん2個)、魚の缶詰、レトルトカレー類、豆乳、パスタ、パスタソース、パン、パックごはん、クッキー等々の他に、ティッシュ2箱、トイレットペーパー2ロール。同封されていた説明の紙には「野菜ジュース」と書かれていますが、我が家に届いたものには入っていませんでした。

(おぉ、これはずいぶんとコッテリ系が・・・。回復期にスタミナ付けろってこと?いやぁ、それにしてもビタミンが摂れるものが少なすぎない?ていうか、箱がでかっ!)

と、市の配食が届いた時とは全く違う感想を持ちました。

普段買わないもの(カップラーメンやパスタソース)を見て子どもたちはちょっと嬉しそう。カップ麺は場所も取ることもあり、早速その日のお昼に大盛りのカップラーメンをいただきました。が、食欲は普通にあると思っていた次女は全て食べきれず。半分くらいで「もういらない」と。まだ本調子ではないんだな、と気づくことができました。せめてうどんにしておけばよかったのかもしれませんが、そのほかのものを見ても、カレーや牛丼。病人の食事としてはどうなんでしょう。

幸い、我が家は食材の宅配を2社利用しているので、週2回食材が届きます。待機期間中に2回配達日があり、野菜も届いたので県の配食が届いた時に感じた「ビタミン不足になるのでは?」という心配も現実にはならずに済みました。しかし、それがなかったとしたら…と考えると少しゾッとします。いくら無料とは言え、県の配食の内容は、もう少しバランスを考えてくれてもいいのでは?というのが、正直な感想です。


「タダでもらっておいて文句多くない?」と思われるかもしれませんが、なぜこんなことを書いているのかというと、「事前に内容を知っておけば備えるものが変わるかな」と思ったからです。「一人暮らしだけど感染したら配食サービスがある」と思っていても、受け取るためにはまず、何回も電話をかける必要があります。無事に申し込めても、届いた時に具合が悪く寝ていたりすると不在票を入れて持ち替えられてしまうかもしれません。つまり、ある程度の元気がないといけません。我が家の場合、私が感染していなかったので全て手続きできましたが、家族全滅だったら難しかったかもしれません。やはり、ある程度の備蓄は必要です。

無事に受け取れても、入っているものは病人にはちょっとヘビーなもの。食欲がない場合に食べられるのはゼリー飲料くらいかもしれません。市の配食は味噌汁や春雨スープ(それも何種類も入っているもの)など汁物の種類が豊富でしたが、県の配食はわかめの味噌汁のみ。8日間、毎食同じ味噌汁。朝食にパンと魚の缶詰と味噌汁?当然、塩分も高めです。それなのに取り過ぎた塩分の排出を助けてくれる野菜が少ないのです。この経験から「備蓄品に野菜や乾物などビタミンが摂れるものを増やしておこう」「キャベツや大根、玉ねぎなど日持ちする野菜やそのまま食べられる野菜は常備しよう」と考えることができました。

我が家では乾燥野菜もストックしているのですが、カップ麺に入れるお湯を沸かすときにその乾燥野菜も入れておくだけで、栄養ちょい足しできます。雑炊などにも使いやすいです。


と、備蓄についていろいろ考えるきっかけにもなりましたし、不満や疑問はあるものの、「食べるものの心配をしなくてもいい」という状態になることはとても強い安心感につながるということも知りました。つまり、それまであまり意識していなかったのですが、やはり多少の不安はあったということです。

給食の活動をする中で「学校へ行っても昼食がない生徒」がどれだけの苦痛を感じているのか、これまでも想像はしているつもりでしたが、10000分の1くらいでも実感することができたような気もします。

県や市の配食は、県民・市民が受ける権利があるサービスです。対象の条件に「経済的事情“等”」とあるので、ほとんどの方が対象となると思います。希望する誰もが気兼ねなく権利を行使して、少しでも安心感を得られたらいいな、と思います。


ここからは配食以外のことなので、ちょっとした余談です。

県の配食には生活用品として、ボックスティッシュが2箱入っていましたが、元々鼻炎な上に花粉症の季節に入ったこともあり、次女は感染してから今日(発症8日目)まででティッシュを3箱使いました。次女の手洗い後の手拭きを使い捨てにしたかったのでキッチンタオルを使ったのですが、昨日1ロール使い切りました。紙、たくさん使います。


何より欲しかったのは、子どもの暇つぶしグッズ。感染者の待機期間は10日間ですが、子どもの回復力はさすが。3日目からは、ただただ暇になります。家族との接触を避けるため、なるべく個室から出したくないので、1人で部屋で時間を潰せるものを用意しておくといいでしょう。大人は掃除でもして過ごしましょう(私もそのつもりでしたが、なぜか全く片付かないまま待機期間が終わりました)


待機期間中に、ふと「もしかして、入院扱いで保険適用になるのでは?」と思い加入している保険会社の担当の方に電話をしたら、ビンゴ!入院保険が適用になるそうです。療養終了したら、保健所に証明書を発行してもらってから申請します。次女が加入している保険は「自宅療養」は適用になるけど「自主療養」は適用外とのことです。必ず、病院受診して「自宅療養」にすることをお勧めします。


学校の給食は連絡を入れた翌々日(発症2日目)から待機期間終了日(発症10日目)までの平日7日分がストップになり、担任の先生が電話でその分を引いた金額を伝えてくれました。そこで疑問に感じたのは「デリ弁は平日7日前までにキャンセルしなきゃならないから7日分はお金を払って捨てられるってことかな」ということ。未確認ですが、いつものシステムだとそういうことになります。コロナ対応の場合は違いがあるのかもしれないので、確認してみようと思います。


高1長女はちょうどテスト期間に登校停止。テストは受けず、普段の授業態度等で成績がつくそうです。普段の授業態度、大事。登校再開時に「提出物も出さなくていい」と言われたそうなので、休んでいる間に成績決定したと思われます。


最後に感染者差別について。

私はネットでもリアルでも、さまざまなところで、いろいろな方に家族に感染者が出たことを伝えていますが、今のところ何の差別も受けていません。それどころか、温かいお言葉やお心遣いをたくさんいただきました。周りの皆様のご理解のおかげで、仕事もオンライン対応に快く応じてもらうことができました。こうして、当事者とならないと分からないことを発信しようと思ったのは恩返し(恩送り)のつもりでもあります。コロナはいつ誰が感染してもおかしくありません。当事者となった時に少しでも辛い思いをしないで済む方法や心づもりを多くの方が知ることで、もし身近な方が苦しんでいると知った時の手助けになるのではないかと思います。

2年前、相模原市で全国初のコロナによる死亡例がありました。その時、私の周りでは「あの地区の人らしい」「あの病院に通ってたらしい」とさまざまな噂話が流れました。その噂によって亡くなった方がかなり近所の方らしいことがわかったのですが、耳に入るその話が「いかに自分から離れているか」を確認して安心を得ようとしていました。「私の家の学区ではない」「駅の向こうらしい」などと。しかし、同じ市内でも別の区に行くと「○区の人が来た」と言われ、市外に行くと「あの相模原」と言われ、県外に行くと「あの神奈川」と言われました。報道では「神奈川の80代女性」と言われていましたからね。でも、私は「違う学区」なんて狭い範囲で考えていたのです。人は当事者になりたくない時には、道一本挟むだけで「自分とは違う場所で起きていること」と思えるんだな、とその時に知りました。

でも、2年経ち、誰もが当事者になり得ると考える人が増えたのでしょう。差別は起きていません。

だけど、今回感染したのは小学生。授業に出られないことで「格差」が生じる可能性があります。全ての子どもにタブレットは配布されましたが、オンライン授業で使われている例はごくわずか。3月といえば、クラスみんなで思い出を作る時期です(その賛否は別として)。今日も次女が楽しみにしていた行事が学校で行われました。しかし、残念ながら次女はその様子すら知ることはできません。差別はないけど、「10日間」という子どもにとっては相当長い期間「疎外感」を感じているのではないかと親としては思うのです。学力格差も辛いですが、思い出格差も寂しいものですよね。

私は、必要性に駆られて各所に連絡を入れたので、ちょっと久しぶりの方と電話でお話ししたりして、意外と充実した時間も持てました。待機期間は家族以外と話すことがないので、ちょっとの電話もリフレッシュになるんです。もし、お子さんと仲のいいお友達が感染または濃厚接触者になったという情報を得たら、よかったら電話してあげるよう促してあげてください。学校であったことなどを聞かせてあげてください。きっと、励みになります。


余談がずいぶん長くなってしまいました。

私と長女は今日待機期間が終わり、久しぶりに外へ出ました。

次女ももうずっと平熱で、今日は習い事にもオンラインで参加し、少し体を動かしました。

我が家は日常に戻りつつありますが、またいつ変異株とやらに襲われるかもわかりません。世界情勢もなんだか不安定です。だからって、怖がってばかりでは楽しくないですからね。少しでも安心して楽しく過ごせる社会になるよう、私にできることを考えて実行していこうと思います。


※執筆日 3月8日


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